URL届出に添付する使用権原を疎明する書類って何?
中古品をネットで売買する場合に必要となる古物商の届出。
ネットに疎い人には難しい言葉が多く、なかなか分かりにくいかと思います。
そこで、この記事ではネットに疎い方でもわかるように「古物商のURL届出とは?」や「URL届出の書き方」、「使用するサイト別の使用承諾書等の添付書類」について解説します。
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古物商のURL届出とは?URLの届出は必要?
古物商のURL届出とは、中古品売買に利用するインターネットサイトのアドレス(URL)を登録する届出のことで、ネットで中古品を売買するほとんどのケースでURLの届出が必要となります。
ただし、インターンネットを利用する場合でも、URL届出が不要な場合もあります。
以下では古物商のURL届出が必要な場合と不要な場合について解説します。
URL届出が必要な場合
以下のようなサイトを使って中古品の売買を行う場合にはURLの届出が必要となります。
URL届出が必要
- 自身でドメインを取得して作成したサイト
- メルカリShops
- ヤフオクストア
- Amazonマーケットプレイス
- BASE
- STORES
- 楽天市場
URL届出が不要な場合
一方で、以下のような場合にはURL届出は不要となります。
URL届出が不要な場合
- 中古品に関する情報の記載がないホームぺージ
地域によって必要・不要の判断が異なる場合
また、利用するサイトによっては、管轄の警察署によってURLの届出が必要な場合と不要な場合があります。
具体的には以下のサイトを利用する場合には、地域によってURLの届出を求められる場合と求められない場合があります。
必要・不要の判断が異なる場合
- メルカリ
- ヤフオク
- ラクマ
- Yahoo!フリマ
- X(旧Twitter)
- インスタグラム
- ライブ配信アプリ
上記のサイトを利用する場合には、申請書を提出する都道府県によって対応が異なる為、事前に管轄の警察署にURLの届出が必要かどうかを確認してください。
だた、以前は上記のサイトを利用している場合でもURL届出を求められない地域が多かったのですが、最近ではかなりの確率で求められることが多くなっているので必ず確認するようにしてください。
URL届出をしないと罰金の可能性がある
古物商のURL届出が必要であるにも関わらず、URLを届け出なかった場合には10万円以下の罰金に処される可能性があります。
また、最悪の場合には古物商の許可を取り消されてしまう可能性もあるので、URLの届出が必要な場合には必ず提出するようにしてください。
そして、もしURLの届出が必要か不要なのかの判断に迷った場合には管轄の警察署に相談することをおすすめします。
古物商のURL届出の書き方と注意点
古物商のURLに関する内容は古物商申請用紙「別記様式第1号その4」で記入します。
古物商のURL届出が必要な場合の書き方
古物商のURL届出の書き方
- URLの届出をする場合は「1.用いる」に〇をします。
- 自分が利用するドメインのURLとふりがなを記載します。
「電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供する方法を用いるかどうかの別」は難しく書かれていますが、わかりやすくいうとネットを使って古物営業をするかどうかということです。
また、「送信元識別符号」はドメインのURL(アドレス)の事です。
因みに、ふりがなについては本来は誤読されやすいものにだけ記載するばいいのですが、全ての英字にふりがなを求められる警察署もあるので、全ての英字にふりがなを記載しておくと間違いないです。
また、ふりがなを記載する場合には「S」と「s」のように、大文字と小文字で判別が難しいアルファベットもあるので「(大)エス」「(小)エス」のように、大文字と小文字を判別できるふりがなで記載すると良いです。
古物商のURL届出が不要な場合の書き方
古物商のURL届出の書き方
- URLの届出をする場合は「2.用いない」に〇をします。
古物商の営業にネットを使わない場合には「2.用いない」を選択し、送信元識別符号の欄は何も記載しなくて大丈夫です。
複数のサイトで販売する場合はどうすればいい?
URLの届出は1つのサイトを登録すれば良いというわけではなく、複数のサイトで中古品を売買する場合には、利用する全てのサイトのURLの届出が必要となります。
例えば、古物商の新規申請の時点で3つのサイトを利用することがわかっている場合には、上記で紹介した「別記様式第1号その4」を作成し、それぞれのURLを記載する必要があります。
一方で、新規で申請した時点では1つのサイトしか使っていなかったけど、その後、新たに別のサイトを利用することになった場合には、変更届出を提出してURLの追加をしなければなりません。
古物商のURL届出に添付が必要なURLの使用権限を疎明する資料
古物商のURL届出を提出する際に、使用するURLを記入した「別記様式第1号その4」と合わせて「URLの使用権限を疎明する資料」を添付しなければなりません。
「URLの使用権限を疎明する資料」とは、簡単にいうと"自分がそのURLを使う事ができることを証明する書類"のことです。
例えば、誰かがあなたに「http://abc.comは私のサイトです」と言われても、本当かどうか判断のできないですよね?
でも、http://abc.comというドメイン(URL)を購入した時に送られてくる購入完了メールにその人の名前が記載されたメールを提示されたら判断できますよね。
これと同じように、古物商のURLの届出をする場合にはURLと合わせて、自分のURLであることを証明する書類を添付するわけです。
そして、URLの使用権限を疎明する資料としては具体的に以下の書類が挙げられ、これらのうちのどれかを提出すれば大丈夫です。
- プロバイダー等からの書面
- WHOIS情報を印刷した書面
- URLの使用承諾書
プロバイダー等からの書面
プロバイダーとは「http://〇〇〇.com」や「http://✕✕✕.com」といったドメイン(URL)を販売している会社のことです。
通常、自分でドメイン(URL)を取得してサイトを作る場合、このプロバイダーから自分が希望するドメインを購入し、そのドメイン上にサイトを作成します。
例えば当サイト「古物商の学校」はバリュードメインというプロバイダーから「https://kobutsu-school.com/」というドメインを購入し、そのドメイン上にサイトを作成しています。
そして、そのプロバイダーから送られてくるメールや書類に下記の3つの内容が記載しれている場合はURLの使用権限を疎明する資料として利用できます。
記載が必要な内容
- 発行元(プロバイダ)
- ドメイン名(「http://www.○○○○jp」等の〇○○印の部分)
- 登録者名
例えば、当サイトのドメイン(https://kobutsu-school.com/)を購入した場合には以下のようなメールが届いており、このメールをプリントアウトすることでURLの使用権限を疎明する資料として使えます。
WHOIS情報を印刷した書面
WHOIS情報とは、ドメイン(URL)の所有者が誰なのかの情報とことで、ネットで検索することが可能です。
例えば、whois情報を検索できるこちらのサイトで「https://kobutsu-school.com/」と検索すると以下のように表示されます。
このページで①Domain Name(ドメイン名)と②Registrant Name(登録名)が確認できるので、このページをプリントアウトすることでURLの使用権限を疎明する資料として利用できます。
但し、WHOIS情報には所有者の名前だけではなく、住所や電話番号などの個人情報も表示されるため、多くの場合には以下のようにプロバイダーの情報が表示されているケースが多いです。
①Domain Name(ドメイン名)はそのまま表記されていますが、②Registrant Name(登録名)はプロバイダーの名前が表示されています。
これは「Whois代行」というサービスで、プライバシー保護のために所有者の情報の代わりにプロバイダーの情報を公開しているのです。
ですので、もしWHOIS情報を検索して自分の情報が出てこなかった場合には、「Whois代行」の解除手続きが必要となります。
URLの使用承諾書
「プロバイダー等からの書面」や「WHOIS情報を印刷した書面」は自分がドメイン(URL)の所有者である場合に発行することが可能です。
一方で、ドメイン(URL)の所有権が自分にない場合には、ドメインの所有者からURLの使用承諾書を発行してもうことで使用権限を証明します。
URLの使用承諾書とはドメインの所有者がドメインの使用者に対して使用を承諾する旨が記載された書類で、特に書式に決まりはありませんが以下のような内容で問題ありません。
因みに、使用承諾書はあくまでも所有者から使用する許可を貰っていることを証明する書類に過ぎません。
ですので、警察署に提出する際には「プロバイダー等からの書面」か「WHOIS情報を印刷した書面」でURLの所有者を証明した上で、使用承諾書を添付して使用権原を証明する必要があります。
サイト別の使用承諾書に代わる使用権原を疎明する書類
自分がドメインの所有者の場合には「プロバイダー等からの書面」や「WHOIS情報を印刷した書面」を提出し、一方で自分にドメイン(URL)の所有権がない場合には所有者から使用承諾書をもらうと解説しました。
ただし、多くの人が利用するメルカリやAmazon、ヤフオクなどのほとんどのサイトでは、ドメインの所有者である企業が使用承諾を発行していません。
となると、中古品の売買にメルカリやAmazon、ヤフオクなどを使えないかというと、使用承諾書に代わる使用権限を疎明する資料を提出することで利用が可能となります。
以下では、それぞれのサイトで一般的に利用されている使用承諾書の代わりとなる使用権原を疎明する資料を紹介します。
注意ポイント
申請書を提出する都道府県によって求められる書類は異なる為、事前に管轄の警察に必要書類の確認を行って下さい。
メルカリの場合の使用権原を疎明する書類
メルカリではURLの使用承諾書を発行してもらうことができません。
なので、URLの使用承諾書の代わりとなる資料を添付することで使用権限を証明します。
具体的には、上記の画像のようにプロフィールメージをプリントアウトした書類を提出することで使用権限を疎明する書類として認められます。
ただし、注意点としてはプロフィールの自己紹介文の欄に「①名前を記入」することと、「②アカウントのURL」が表示されるようにプリントアウトする点です。
また、メルカリアカウントのURLは「https://jp.mercari.com/user/profile/123456789」というように、数字で終わるURLを表示するようにしてください。
例えば、メルカリのプロフィールページを表示した場合に「https://jp.mercari.com/user/profile/123456789?utm_medium=share&utm_source=ios」と表示されたとします。
この場合には、数字以降の文字(?utm_medium=share&utm_source=ios)部分を消してアクセスしても同じページが表示されるので、そのページを表示してプリントアウトするようにしてください。
因みに、以前はメルカリはURLの届出が不要と言われる警察署が多かったのですが、メルカリの仕様変更に伴い最近ではメルカリについてもURLの届出が必要と言われるケースがほとんどです。
注意ポイント
メルカリは申請する都道府県によって提出を求められる書類が異なる場合があります。中にはメルカリにURLの使用承諾書を発行してもらうよう問い合わせた返信メールなどを求められたりする警察署もあるので、事前に管轄となる警察署に確認してください。
メルカリShopsの場合の使用権原を疎明する書類
メルカリShopsの使用権限を疎明する書類についてはメルカリとは少し異なります。
具体的には、メルカリShops開設時に送付される審査完了メールをプリントアウトした書類を提出します。
その際に以下の2点が記載されているか確認してください。
- メールに記載されているメルカリShopsの登録者名と古物商の申請者名が同じか
- メルカリShopsのURLが記載されているか
また、メルカリShopsの使用権限を証明する書類に関してはメルカリ公式サイトの記事に詳しく記載されているので参考にしてみてください。
Amazonの場合の使用権原を疎明する書類
Amazonについても使用承諾書を発行してもらえません。
なので、Amazonについても使用承諾書の代わりとなる使用権原を疎明する資料を提出します。
具体的には、メルカリと同じようにプロフィールメージをプリントアウトした書類を提出することで使用権限を疎明する資料として提出します。
プロフィールの自己紹介文の欄に「①名前を記入」することと、「②アカウントのURL」が表示されるようにプリントアウトしてください。
注意ポイント
Amazonは申請する都道府県によって提出を求められる書類が異なる場合があります。中にはAmazonにURLの使用承諾書を発行してもらうよう問い合わせた返信メールなどを求められたりする警察署もあるので、事前に管轄となる警察署に確認してください。
ヤフオクの場合の使用権原を疎明する書類
ヤフーオークションについても使用承諾書を発行してもらえません。
なので、ヤフオクについても使用承諾書の代わりとなる使用権原を疎明する資料を提出します。
具体的には、メルカリやAmazonと同じようにプロフィールメージをプリントアウトした書類を提出することで使用権限を疎明する資料として提出します。
プロフィールの自己紹介文の欄に「①名前を記入」することと、「②アカウントのURL」が表示されるようにプリントアウトしてください。
因みに、ヤフオクについてはURLの届出が不要という警察署も未だに多いので、事前にURLの届出が必要かどうかを警察署に確認するようにしてください。
BASEの場合の使用権原を疎明する書類
BASEについては上記のように使用承諾書を発行してもらう事が可能です。
BASEの使用承諾書を発行してもらうにはBASE問い合わせページから請求する必要があります。
また、BASEの使用承諾書を発行してもらうには運転免許証や住民票などの本人確認書類が必要があるのですが、その住所とBASEに登録している住所がことなる場合には使用承諾書を発行してもらえませんので注意して下さい。
BASEの使用承諾書のは発行について詳しく知りたい方はBASE公式サイトの記事をご確認下さい。
古物商のURL届出後に必要となる手続き
URL届出を提出し無事に古物商の許可が取得できた後は、使用するサイトに以下の3つの情報を記載しなければいけません。
- 許可を受けた公安委員会名
- 古物商許可証番号(12桁)
- 古物商の氏名又は名称(個人の場合は氏名、法人の場合は会社名等)
そして、これらの情報を記載する場所についてですが、原則としては取り扱っている商品のページごとに表示しなければなりません。
ただし、それぞれの商品ごとに表示しなくても、古物商許可証の番号をトップページ表示するか、もしくは、許可証の番号を掲載しているページへのリンクをトップページに設定することも認められています。
因みに、独自でドメインを取得したサイトではなく、メルカリやヤフオク、Amazonなどについてはプロフィールページにこれらの情報を記載していれば問題ありません。
まとめ
この記事のまとめ
- 古物商のURL届出はほとんどの場合で必要
- 警察署によってはURL届出が不要な場合もある
- URLの届出をしなかった場合には罰金10万円の可能性も
- URL届出と合わせて使用権原を疎明する使用を添付する必要がある
- URLの使用権限を疎明する資料は利用するサイトによって異なる
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所