
古物商のメリット・デメリットに関するよくある疑問
古物商を取得するメリットはありますか?
古物商市場に参加できたり、インボイス特例による節税効果も受けられるメリットがあります。詳しくは古物商のメリットをご覧ください。
古物商を取得するデメリットはありますか?
古物商を取得するデメリットは取得費用がかかったり、手続きが面倒だったりというデメリットがあります。詳しくは古物商のデメリットをご覧ください。
古物商の資格は何に使えますか?
古物商の資格を持っていると、中古品を仕入れて販売するビジネスができます。
古物商を取らずに中古品販売業をやるとどうなりますか?
3年以下の懲役又は100万円以下の罰金もくはその両方が課されてしまう可能性があります。詳しくは古物商の無許可のデメリットをご覧ください。
古物商の取得を考える際に、まず気になるのが古物商のメリットとデメリットではないでしょうか?
もちろん、メリットとデメリットを知っておくことは大切なのですが、それと同じく無資格で中古品を売買することのリスクも理解しておくべきです。
なぜなら、無資格で古物営業を行うと、罰金や罰則が科されるからです。
そこで、この記事では古物商の許可を取得するメリット・デメリットと、無資格で古物営業をするデメリットについて解説します。
この記事を書いた人
古物商には4つのメリットがある

古物商の許可を取得するメリットは主に以下の4つです。
古物商のメリット
- 中古品の売買ができる
- 古物市場に参加できる
- 税金が抑えられる
- 信用力を得られる
以下では、それぞれのメリットについて簡単に解説していきます。
①中古品が売買できる
古物商の1つ目のメリットは中古品の売買ができるという点です。
『え?メルカリやラクマとかで誰でも売っていいんじゃないの?』と思いませんでしたか?
確かに、自分の不要になった物をフリマアプリやネットで売る場合には古物商の許可は不要です。
しかし、お金を稼ぐ目的で中古品を仕入れて販売する場合には古物商の許可が必要となります。
この点については『古物商とは?』の記事でもっと詳しく解説しているので、気になる方は是非チェックしてみてください。
そのため、古物商の許可を取得すれば、中古品を仕入れてネットや店舗で自由に販売できます。
ちなみに、古物商の許可を取得すると、出張買取やデパートの催事、路面店、フリーマーケット会場などで短期間の出店も可能になります。
②古物市場に参加できる
古物商の2つ目のメリットは古物市場に参加できる点です。
古物市場とは、古物商だけが参加できる業者専用の仕入れ先みたいにイメージして頂くとわかりやすいかと思います。
そして、その古物市場のなかでも特に有名なのがオートオークションです。
中古車屋さんは基本的には一般の人から買い取った車を売るだけではなく、中古車屋さんしか参加できないオークションから車を仕入れて販売しています。
そのオークションでは、中古車を低価格で大量に仕入れることができるため、中古車販売業者にとって貴重な仕入れ先となっています。
そして、このオートオークションと同じような仕入店が美術品や宝石・貴金属、ブランド品、家具、家電など様々な商品であり、それらを総称して古物市場と呼びます。
ちなみに、古物市場では中古品はもちろん、新品の未使用品に関しても一般市場では手に入らないような低価格で、たくさん商品を仕入れられるため仕入れの宝庫とも言われています。
また、古物市場では仕入れるだけではなく売ることもできるので、例えば、売れ残ってしまった在庫を古物市場で大量に出品して、不良在庫をすぐに現金化することも可能です。
③節税のメリットがある
古物商の3つ目のメリットは節税効果がある点です。
古物商を持っていない場合には、先ほども説明した通り自分の不用品しか売ることができません。
つまり、仕入れという概念が存在しないため、販売した金額全体に対して所得税がかかってしまいます。
例えば、中古品の高級時計を100万円で購入したけど、その後に値上がりして300万円で販売したとします。
古物商を持っていない場合には300万円に対して課税されるのに対し、古物商の許可を取得し、事業として申告している場合には、200万円(=300万円-100万円)が課税対象となります。
また、個人から中古品を買い取ることが多い古物商は、本来であればインボイスによる仕入れ時の税金が控除されません。
しかし、インボイス特例という制度があり、古物商を取得して一定の要件を満たすことで、仕入れ時の税金が控除されるなどの節税効果もあります。
その他、古物商の許可を取って中古品を売買する場合には“事業”として扱われるので、例えば、交通費や接待交際費などの経費も認められます。
④信頼度が向上する
古物商の4つ目のメリットは信頼度が向上する点です。
例えば、あなたが中古のブランド品を購入するとして、一般の人が販売している中古品と、古物商の許可を取得している中古品ブランド専門店のどちらで購入したいですか?
恐らく、中古品のブランド専門店だと思います。
というのも、中古品のブランド専門店だと商品が偽物である可能性は極めて低いですが、一般の人から購入する場合には偽物の可能性も十分にあるので購入に至らないケースもかなりあります。
特に、ネットで商品を購入する場合には相手の顔も見えないですし、何なら名前や住所すらもわかりません。
そのため、警察署にちゃんと申請して古物商の許可を取得していることは購入者目線で考えるとかなり安心感があり、ショップの信頼性が向上します。
さらに、古物商の許可を持っていると、事業としての信頼度が上がるので、金融機関などから融資も受けやすくなるというメリットもあります。
古物商には4つのデメリットがある

古物商の許可を取得するデメリットは以下の4つです。
古物商のデメリット
- 許可取得には費用がかかる
- 取得後の手続きも面倒
- 見回り・立入調査のリスクがある
- 申請の手続きが面倒
以下では、それぞれのデメリットについて簡単に解説していきます。
①許可取得には費用がかかる
古物商の許可を取得する場合には、最低でも以下のような費用が必要となります。
- 申請手数料・・・19,000円
- 住民票・身分証明書交付手数料・・・1,000円前後
つまり、古物商の許可を取得するだけで、最低でも20,000円前後の費用は絶対に必要になります。
また、自分で申請する場合にはそれだけですが、専門家にお願いした場合の行政書士の代行費用は+50,000円前後の費用が必要となってしまいます。
ただ、確かに新規で古物商の許可を取るのに高いお金が掛かってはしまうのですが、古物商の許可が良心的な所は有効期限や年会費などの更新費用が一切ないな点です。
つまり、古物商の許可は、一度取得すれば維持費0円で一生使えるのです。
②取得後の手続きも面倒
古物商の許可を取得すると以下のことをやらなければ法律違反になってしまいます。
必要な手続き | 説明 |
古物商プレートの掲示 | 古物商を取得後は公衆の見やすい場所に古物商プレートを掲示しなければなりません。また、ネットを利用する場合には許可を受けた公安委員会の名称と許可証の番号を表示しなければなりません。 |
取引相手の本人確認 | 古物を買い受け・交換等を行う際に、取引相手を免許証等の本人確認書類を用いて本人確認を行わなければなりません。 |
古物台帳への取引記録 | 古物の取引を行う場合には、帳簿等に取引記録(取引の年月日・古物の品目と数量・古物の特徴・本人確認の区分など)を記載又は記録しなければなりません。 |
不正品の申告 | 買い受けた古物や売却の委託を受けた古物が不正品があると認めた場合には、直ちに警察署にその旨を申告しなければなりません。 |
古物商の変更届出 | 古物商の許可取得後に、住所・営業所住所・取り扱う品目などの変更が生じた場合は、警察署に変更届を提出する必要があります。 |
古物商の許可を取得後に上記の手続きを怠った場合には、6月以下の懲役または30万円以下の罰金の他、営業停止などの行政処分を受ける可能性もあります。
ただし、これは古物商の許可に限った話ではなく、飲食業許可や酒類販売業許可など、許可を取得しないとできない事業に関してはほぼ同じような罰則が設けられています。
③見回り・立入調査のリスクがある
古物商の許可を取得すると警察官が営業所の見回りにくるケースもあります。
例えば、古物商の許可を取得すると上記で紹介したように、古物商プレートをちゃんと掲示しているかや古物台帳で取引記録を付けているかなどの確認のために警察官が見回りをするのです。
もちろん、管轄によっては見回りがない地域もあったり、見回りがある地域でも警察署担当者が忙しくてあまり見回りにこないという事もあり得ます。
その他にも、例えば盗品が売買された可能性がある場合には、営業所に警察官が立ち入り調査を実施し、帳簿や在庫の確認、取引内容に関する質問等が行われることもあります。
そして、古物商を取得すると立入調査に協力しなければならず、協力しなかった場合には10万円以下の罰金が科される可能性もあります。
④申請の手続きが面倒
古物商の許可はネットや警察署に相談しながら自分で申請することもできます。
ただし、申請手続きは初心者が行った場合には、想像以上に時間と労力を要します。
例えば、警察署に事前に相談に行ったり、古物商の必要書類を収集したり、URLの使用権原を疎明する資料を準備したり、申請内容の間違いで何度も書類を作り直したりすることがあります。
さらに、場合によっては許可が取得できないこともあります。
しかも、警察署に申請書を無事に提出しても、申請書を提出してから許可がおりるのは約40日後です。
つまり、申請の準備から許可が下りるまでに、1カ月半から2カ月程度かかります。
また、古物商の申請を行い、万が一不許可になった場合でも、申請手数料の19,000円は返金されません。
そのため、確実に許可を取得したい方は、行政書士に申請代行を依頼するのがおすすめです。
弊所では、古物商許可の取得をサポートしており、書類作成から申請までスムーズに進めることが可能です。


そんな方はぜひNAGASHIMA行政書士事務所にご相談ください!
無資格での中古品販売のデメリット


ここまでは古物商の許可を取得するメリットとデメリットについて解説してきましたが、上記のように思われた方もいるかもしれません。
ですが、無資格で中古品の売買をするデメリットを知ることでその気持ちは変わると思います。
というのも、中古品を無許可で販売した場合には『3年以下の懲役又は100万円以下の罰金』もしくはその両方を科される可能性があるからです。
メリットの部分でも少し触れましたが、自分の不要になった物をネットで売る場合には古物商の許可は不要です。
しかし、利益を得る目的で中古品を仕入れて販売する場合には、古物商の許可が必要です。
つまり、必ず古物商を取らないといけないのです。
しかも、『古物商の無許可はバレる!』の記事でも解説していますが、無許可営業は簡単にバレてしまいます。
また、過去には古物商の無許可営業で以下のように書類送検を受けているケースもあります。
警視庁は5月、ファッションブランド「コム・デ・ギャルソン」の古着3点を仕入れてネットオークションなどで転売したとして、20代の男を古物営業法違反(無許可営業)容疑で書類送検した。
引用:その出品、違法かも フリマアプリで摘発相次ぐ|日本経済新聞
そのため、確かに古物商の許可を取得するメリットはそこまで大きくありませんが、無許可で中古品の売買をするデメリットを考えると取っておく以外の選択肢はないと言えます。
まとめ
この記事のまとめ
- 古物商取得のメリットは中古品売買・古物市場参加・節税・信頼度向上の4つ
- 古物商のデメリットは取得費用・申請手続き・取得後手続き・立入調査の4つ
- 古物商が必要なのに取らないことが最大のデメリット
古物商の許可は、一度取得すれば維持費0円で一生使えます。
ただし、手続きが複雑なため、面倒や不安を感じる方も多いです。
「申請が面倒で時間がない…」
「確実に許可を取得したい…」
そんな方は、行政書士に代行を依頼するのがおすすめです!
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所