古物商について学ぶ

古物商にはどんな種類・区分がある?13品目の正しい選び方と注意点

どの種類の古物商を取ればいいの?
どうやって13品目の区分から選べばいいの?
古物商の初心者
古物商の初心者

古物商を取ろうと思った時に、「道具商」や「自動車商」、「美術品商」などいろいろ種類があって、自分はどの種類の古物商を取得すればいいのか悩みますよね?

また、取扱品目によっては選択する際に注意しなければならないこともいくつかあります。

そこで、この記事では古物商にはどんな種類があるのかや、取扱いが可能な13品目の特徴と区分を選ぶ上での注意点について解説していきます。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。古物商専門の行政書士。古物商の許可に関するメディアサイト「古物商の学校」を運営しており、古物商の許可取得実績500件以上。古物商許可の取得率100%。
 

古物商の種類・区分は全部で13品目ある

古物商の種類・区分は全部で13品目あります。

以下は古物商が取り扱い可能な13品目とその具体例をまとめた表です。

古物商の種類 具体例
①美術品類 絵画、版画、彫刻、骨とう品、工芸品、アンティーク・登録火縄銃・登録日本刀など
②衣類 和服、洋服、子供服、和服小物、帽子、ジーンズ、布団、絨毯、旗など
③時計・宝飾品類 腕時計、置時計、眼鏡、宝石・指輪・ネックレス、アクセサリー、貴金属類など
④自動車 自動車、タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー、その他部品類など
⑤自動二輪車及び原動機付自転車 バイク本体、原付自転車、マフラー、エンジン、部品類など
⑥自転車類 自転車、電動アシスト自転車、一輪車、三輪車、かご、タイヤ、サドル、空気入れ、その他部品など
⑦写真機類 カメラ、アンティークカメラ、写真機、レンズ、ビデオカメラ、顕微鏡、双眼鏡、天体望遠鏡、光学機器など
⑧事務機器類 パソコン、パソコン周辺機器、タブレット端末、コピー機、プリンター、FAX、電話機、レジ、タイムレコーダー、シュレッダー、各種測定機器など
⑨機械工具類 家庭用ゲーム機、家電製品、家庭用電話機、土木機械、工作機械、化学機械、医療機器、20トン以下の船舶など
⑩道具類 家具、楽器、スポーツ用品、日用品、釣り具、パソコンソフト、ゲームソフト、CD、DVD、トレーディングカードなど
⑪皮革・ゴム製品類 バッグ、かばん、皮靴、財布など
⑫書籍 単行本・文庫本・雑誌・まんが・写真集・児童書・辞書・古書・地図など
⑬金券類 商品券、航空券、乗車券、各種入場チケット、郵便切手、テレホンカード・プリぺーどカードなど

古物商の13品目の種類・区分別の特徴と注意点

古物商の種類・区分は全部で13品目あるのですが、それぞれの品目に特徴や注意点があります。

以下では、古物商が取り扱い可能な13品目の特徴や、具体例、その品目を選択する際の注意点について1つ1つ解説していきます。

美術品類

取り扱う商品の具体例

絵画、版画、彫刻、骨とう品、工芸品、アンティーク・登録火縄銃・登録日本刀など

絵画や彫刻、工芸品などの鑑賞して楽しむような美術的価値があるものを取扱う場合には美術品類を選択します。

また、登録火縄銃や登録日本刀などの現代では骨董品として扱われるので美術品類に該当します。

注意ポイント

  • 著名な作品のコピー品などが出回っていることもよくあり、専門的な知識がない場合には取り扱いは難しい為、警察署によっては美術品の取り扱い経験を確認されることがあります。

衣類

取り扱う商品の具体例

和服、洋服、子供服、和服小物、帽子、ジーンズ、布団、絨毯、旗など

和服や洋服などの身につける物を取扱う場合には衣類を選択します。

また、衣類にはいわゆる「服」だけではなく、敷物や布団、帽子などの繊維でできた製品にが含まれます。

一方で衣類と関連性の高いカバンや靴などは衣類には含まれません。

注意ポイント

  • かばんや靴は皮革・ゴム製品類に分類される

時計・宝装飾品類

取り扱う商品の具体例

腕時計、置時計、眼鏡、宝石・指輪・ネックレス、アクセサリー、貴金属類など

時計、指輪、宝石類などを取扱う場合には時計・宝装飾品類を選択します。

また、普通のメガネだけではなく、サングラスなどについても時計宝飾品類に含まれます。

注意ポイント

  • 高価な物が多いので専門的な知識がない場合には取り扱いが難しく、警察署によっては美術品の取り扱い経験を確認されることがあります。

自動車

取り扱う商品の具体例

自動車、タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー、その他部品類など

中古自動車を扱う場合には自動車を選択します。

また、車体だけではなくタイヤやバンパー、車の部品についても自動車に分類されます。

以前は保管場所や事務所等の審査が厳しかったようですが、現在はネットでの売買や在庫を持たずに中古車販売をする人も増えているので、以前に比べると審査が緩くなってきています。

とはいえ、他の品目に比べると経験等の審査は一番厳しいので、事前にいろいろと情報を下調べした上で申請することをおすすめします。

注意ポイント

  • これまでの自動車の取り扱い経験について確認される等の審査が厳しい傾向にある
  • 自動車本体を取扱う場合には自動車の保管場所等の確認される傾向がある
  • 建設現場などで使用される建設機械は、自動車に含まれる場合と機械工具類に含まれることがある

自動二輪車及び原付自転車

取り扱う商品の具体例

バイク本体、原付自転車、マフラー、エンジン、部品類など

バイクを取扱う場合には自動二輪車及び原付自動車を選択します。

自動二輪車及び原付自動車についても、バイク本体だけではなくマフラーやエンジン、バイク部品なども分類されます。

また、取り扱う数量が急激に増えている電動キックボードなどのモペットもここに分類されます。

また、自動二輪車及び原付自動車についても自動車と同じで、保管場所や事務所の要件が緩くなってきている傾向にあり、自宅などでも登録が可能となっているところもあります。

とはいえ、こちらについても自動車と同じく審査が最も厳しい区分のひとつです。

注意ポイント

  • これまでのバイクの取り扱い経験について確認される等の審査が厳しい傾向にある
  • バイク本体を取扱う場合には自動車の保管場所等の確認される傾向がある
  • 電動キックボードやモペット(電動自転車)は自動二輪車及び原付自転車に区分される

自転車類

取り扱う商品の具体例

自転車、電動アシスト自転車、一輪車、三輪車、かご、タイヤ、サドル、空気入れ、その他部品など

自転車や電動アシスト自転車を取扱う場合には自転車類を選択します。

また、自転車本体の他にもかごやサドル、空気入れ、その他部品についても自転車類に分類されます。

注意ポイント

  • 電動アシスト自転車は自転車類だけどモペットは自動二輪車及び原付自転車に分類される

写真機類

取り扱う商品の具体例

カメラ、アンティークカメラ、写真機、レンズ、ビデオカメラ、顕微鏡、双眼鏡、天体望遠鏡、光学機器など

カメラを扱う場合には写真機類を選択します。

また、カメラ本体だけではなくレンズや双眼鏡、望遠鏡などのレンズと関連した物についても写真機類に分類されます。

 

事務機器類

取り扱う商品の具体例

パソコン、パソコン周辺機器、タブレット端末、コピー機、プリンター、FAX、電話機、レジ、タイムレコーダー、シュレッダー、各種測定機器など

パソコンやコピー機などのオフィスの事務的な処理に使う機械については事務機器類に分類されます。

この事務機器と次で紹介する機械工具は取り扱う物がにているので判断が難しいですが、基本的にはオフィスで使うような電化製品は事務機器類という認識で大丈夫です。

注意ポイント

  • パソコンの本体や周辺機器に関しては“事務機器類”に該当しますが、パソコンソフトやDVDなどに関しては“道具類”に分類される
  • タブレット端末については事務機器類に分類されますが、スマフォ端末については機械工具類に分類される

機械工具類

取り扱う商品の具体例

家庭用ゲーム機、スマホ、家電製品、家庭用電話機、土木機械、工作機械、化学機械、医療機器、20トン以下の船舶など

ゲーム機や家電製品から土木機械や工作機器を取扱う場合には機械工具類を選択します。

上記でも触れましたが、事務機器類と機械工具類は取り扱う物が似ているので判断が難しいです。

ただし、基本的にはオフィスなどで使われる以外の電気製品については機械工具類という認識で大丈夫です。

また、家電製品を扱う場合には家電リサイクル法の適用を受けることになるので、その点もしっかりと理解しておく必要があります。

注意ポイント

  • ゲーム本体は機械工具でゲームソフトは道具類に分類される。
  • スマホ端末については機械工具に分類されますが、タブレット端末については事務機器類に分類される。
  • テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機は家電リサイクル法の対象になる。
  • 20トン以上の船舶については古物商の許可は不要

道具類

取り扱う商品の具体例

家具、楽器、スポーツ用品、日用品、釣り具、パソコンソフト、ゲームソフト、CD、DVD、トレーディングカードなど

家具やおもちゃ、スポーツ用品、CD、DVDなどを取扱う場合には道具類を選択します。

また、道具類は古物分類の中で「その他」に該当するような立ち位置で、他に分類されない古物が道具類に分類されます。

但し、後で紹介する道具類にも分類されない物のあるので注意が必要です。

注意ポイント

  • ゲーム機本体は機械工具類に分類される。
  • 他で分類されない古物が道具類として扱われる
  • 道具類に分類されないものもある

皮革・ゴム製品類

取り扱う商品の具体例

バッグ、かばん、皮靴、財布など

ブランド物の財布やバックなどを取扱う場合には皮革・ゴム製品類を選択します。

また、皮やゴムで作られていなくても合皮で作られたものや毛皮なども皮革・ゴム製品類に分類されます。

注意ポイント

  • 偽物商品が多く存在するので買取の際には注意が必要

書籍

取り扱う商品の具体例

単行本・文庫本・雑誌・まんが・写真集・児童書・辞書・古書・地図など

漫画や小説、古書などを取扱う場合には書籍を選択する必要があります。

基本的には読み物だけではなく、製本されている形式のものは書籍類に分類されるという認識で大丈夫です。

金券類

取り扱う商品の具体例

商品券、航空券、乗車券、各種入場チケット、郵便切手、テレホンカード・プリぺーどカードなど

商品券や乗車券、金券などを販売する場合には金券類を選択する必要があります。

基本的にはお金の代わりとして特定の物やサービスと交換できるものは金券類するという認識で大丈夫です。

ただ、特に注意が必要なのは個人でチケットを販売するには、2019年6月に施工された「チケット不正転売禁止法」です。

この法律はアイドルやスポーツのチケットを買い占めて、法外な値段で転売するのを防ぐため、チケットを定価よりも高い値段で転売する行為を禁止した法律です。

この法律に違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方が課せられる可能があります。

注意ポイント

  • チケット不正転売禁止法に違反しないかの確認が必要

古物商の13品目のどの種類にも該当しない物とは?

ここまでは古物商の13品目について解説しましたが、これから取り扱おうと思った商品がどれにも該当しない場合もあるかと思います。

具体的には以下のようなものは古物商の13品目には該当しません。

13品目に該当しない物 説明
お酒 お酒は古物に該当しない為、古物商を取得してもお酒を販売することはできません。お酒を販売する場合には酒類販売免許を取得する必要があります。
医薬品 医薬品は古物に該当しない為、古物商を取得しても医薬品を販売することはできません。医薬品の販売は医薬品販売業許可を取得する必要があります。
化粧品・香水等 化粧品や香水などは古物に分類されないので、古物商がなくても取り扱いが可能です。
金・プラチナなど 資産や投資目的で保有するンゴット、金貨、金塊、古銭、古札、プラチナなどは古物に該当しません。
金属くず、鉄くず、銅線など 金属くず、鉄くず、銅線、空き缶など原材料として取引さるものは古物に分類されず、金属くず商という許可を取得することで取引ができます。

この他にも、13品目には該当するけど、私物であったり、新品商品、無償で貰った物や自分が海外から輸入した物については古物に該当しないので、古物商の種類・区分を気にせずに売買しても大丈夫です。

因みに、どんな時に古物商が必要で、どんな時に古物商の許可が不要なのかの判断は難しいと思いますが、「古物商はなぜ必要?古物商が必要な場合とは?取るとできる仕事例も紹介」の記事で詳しく解説しているので、判断基準を知りたい方は是非参考にしてみて下さい。

古物商の正しい種類・区分の選び方と選択時の注意点

古物商の許可申請をする際に、「主として取り扱おうとする古物の区分」「取り扱う古物の区分」を選択しなければなりません。

主として取り扱おうとする古物の区分というのはメインの商品のことで、古物商のプレートに「時計・宝飾品商」「自動車商」というように表記されます。

そして、「主として取り扱おうとする古物の区分」と言うのは13種類の品目の中から1つしか選択できません。

一方で「取り扱う古物の区分」というのはメイン商品と併せて取り扱う商品のことです。

例えば、古着屋さんで古着以外に時計やカバン靴などを取扱う場合には、「主として取り扱おうとする古物の区分=衣類」、「取り扱う古物の区分=時計・宝飾品類と皮革・ゴム製品類」というような形で選択します。

因みに、「取り扱う古物の区分」に関しては、選択個数に制限はありません。

全区分・複数区分を選択すると審査が厳しくなる

「取り扱う古物の区分」は複数選択できるということで、必要以上に選択して許可申請を提出する人も多いです。

確かに、中古品の買取販売を行う上で「もしかしたら取り扱うかもしれない・・・」という思いから、できるだけ多く選択しておきたいという気持ちも分かります。

もちろん、それでも申請に通るケースもありますし、実際に弊所のご依頼者様でも全種類を選択して許可を取得できている方も沢山おられます。

しかし、「取り扱う古物の区分」を選択する場合には、必要最小限のほぼ確実に取り扱い品目だけにしておいた方がいいです。

なぜなら、古物商の申請書提出の際に、選択した取り扱い品目に関する経験や専門知識などを警察から細かく質問されることもあるからです。

例えば、全区分を選択したり、多めに複数区分を選択して申請書を提出した場合には警察から「本当にこれ全部取り扱うんですか?」「自動車やバイクなどの専門知識や取り扱い経験はあるんですか?」「どんなものをどれぐらいの数量取り扱うんですか?」といったことを事細かに確認されます。

というのも、警察署としても本当に取り扱うもの以外は許可を与えたくないというのが本音の部分だからです。

ですので、古物商の品目を選ぶ際には必要最低限に絞って選ぶことをおすすめします。

区分は後からでも変更申請で追加できる

ただ、必要最小限に絞って選択した場合には、後々、選択した区分以外も取り扱いたくなってくるケースも多いです。

そんな場合には、警察署に変更届を提出することで区分の追加が可能です。

しかも、この区分の追加の変更届は、古物商の許可申請とは違って簡単に、しかも無料で追加できます。

ですので、新規の申請の際は必要最小限の区分を選択し、他に取り扱いたい区分が出てきた際に警察署に変更届を出して区分を追加するのがベストです。

古物商の選択した品目を忘れた場合には警察署で教えてもらえる

古物商を申請した時に「どの品目を選択したか忘れてしまった・・・」という方も多いです。

古物商の申請を行政書士に依頼している場合には、基本的には行政書士がそのデータを保管しているはずなので依頼した行政書士に確認してみましょう。

一方で、古物商を自分で申請したという場合で、自身で申請書の控えなどを作成していなかった場合には、申請書を提出した主たる営業所の管轄の警察署で確認することができます。

因みに、新規で許可申請をした後に、主たる営業所を別の場所に移転している場合には、移転後の主たる営業所の管轄の警察署に確認する必要があります。

また、基本的には電話では教えてもらえないので、警察署にもよるかと思いますが実際に警察署に行って確認するのが一般的です。

ですので、まずは警察署の生活安全課に電話をして「古物商の選択した品目を忘れてしまったので確認したい」と伝えて、警察署担当者に指示に従って下さい。

また、電話で問い合わせる際や、警察署で品目を確認する際には申請者名や許可番号を確認されるので古物商許可証を忘れずに持っておくようにすると良いです。

古物商についてもっと詳しく知りたい方におすすめの記事

まとめ

この記事のまとめ 

  • 古物商の種類・区分は全部で13品目
  • 13品目に該当しない物もある
  • 種類・区分を全部選ぶと審査が厳しくなる
  • 種類・区分は後からでも追加できる
  • 選択した品目を忘れたら警察署で確認できる

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