古物商の取り方

バーチャルオフィスやレンタルオフィスで古物商は取れない?

バーチャルオフィスやレンタルオフィスで古物商を取りたい!
古物商を取りたいけど自宅の住所を公開したくない!
古物商の初心者
古物商の初心者

古物商を申請するにあたって営業所を自宅にすると、自宅の住所がバレてしまうのではないかと不安になりますよね?

だから、自宅の住所がバレないようにする対策としてバーチャルオフィスやレンタルオフィスで古物商を取りたいと考える方も多いです。

そこで、この記事では「バーチャルオフィスやレンタルオフィスで古物商の許可が取れるのか?」や「自宅の住所を公開せずに古物営業を行う対策」について解説します。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。古物商専門の行政書士。古物商の許可に関するメディアサイト「古物商の学校」を運営しており、古物商の許可取得実績500件以上。古物商許可の取得率100%。
 

古物商でバーチャル・レンタルオフィスが満たすべき要件

バーチャルオフィスやレンタルオフィスで古物商の営業所として申請する場合には、古物商の営業所としての要件を満たさなければなりません。

具体的には古物商の営業所として使う場合には以下の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 営業所が実際にあること
  2. 個室の専有スペースであること

この両方を満たすことで古物商の営業所としてしようすることができます。

ネットで中古品を売買する場合にも営業所が必要

因みに、最近ではネットやスマホアプリの普及で店舗を構えずにネットだけで売買をするケースも多いです。

ネットだけだと特に営業所はいらないから、営業所なしで古物商を取りたいという方も多いです。

しかし、残念ながら古物商の許可を取得するにはネットだけで売買する場合でも必ず営業所を設けなければなりません。

ですので、個人がネットで中古品を売買する場合には自宅や実家などを営業所として申請するケースが多いです。

バーチャルオフィスを営業所として古物商は取れない

では、バーチャルオフィスで古物商は取れるのでしょうか?

結論から先にいうと、バーチャルオフィスを営業所として古物商を取ることはできません。

なぜなら、バーチャルオフィスは営業所(部屋)としての実態がないので、古物商の営業所としての要件「①営業所が実際にあること」を満たしていないからです。

バーチャルオフィスは“オフィス”という言葉が使われていますが、実際には住所を貸し出すサービスなので、その住所に営業所は存在しません。

ですので、古物商を取得する目的でバーチャルオフィスを借りても古物商の許可は取れないので注意して下さい。

法人の住所としてバーチャルオフィスの利用は可能

バーチャルオフィスを法人の住所として登記している会社も多いです。

この場合、その法人は古物商の許可を取得できないのかというと、その住所を営業所として古物商は取れませんが、別の場所を営業所とした場合には古物商は取れます。

なぜなら、バーチャルオフィスが認められないのはあくまでも古物商の営業所であって、法人の住所としては認められるているからです。

どういう事かというと、法人の住所をバーチャルオフィスとし、営業所を自宅や他の賃貸事務所等にすることで古物商の許可は取得可能になるというわけです。

バーチャルオフィスのPR記事には注意

バーチャルオフィスで古物商の許可を取得できるかどうかを調べていると「古物商にバーチャルオフィスの活用がおすすめ」と解説されている記事をたまに見かけます。

しかし、ここまででも解説したようにバーチャルオフィスは古物商の営業所として取得するこはできません。

では、なぜ、「古物商にバーチャルオフィスの活用がおすすめ」と紹介しているかというと、その記事を書いているのはバーチャルオフィスの運営事業者や広告代理店だからです。

つまり、バーチャルオフィスを契約して貰うために「古物商にバーチャルオフィスの活用がおすすめ」と書いているわけです。

しかし、専門家の立場からすると、法人住所でバーチャルオフィスを利用している場合を除き、古物商を取得するのにバーチャルオフィスを利用するメリットはほぼありません。

ですので、バーチャルオフィスの事業者や広告代理手PR記事に惑わされないように注意してください。

レンタルオフィスを営業所として古物商は取れるケースもある

では、次にレンタルオフィスで古物商は取れるのでしょうか?

こちらも先に結論から言うと、レンタルオフィスを古物商の営業所として取得できるケースとできないケースがあります。

なぜなら、レンタルオフィスには様々なタイプのレンタルオフィスがあり、営業所の要件を満たすレンタルオフィスもあれば満たさないオフィスもあるからです。

先程、古物商の営業所の要件として「①営業所が実在すること」「②個室の専有スペースであること」を紹介しました。

そして、レンタルオフィスに関しては実際にある場所を借りるので「①営業所が実在すること」の要件は満たしています。

しかし、「②個室の専有スペースであること」の要件については物件によって満たしている物件と、満たせていない物件があります。

例えば、完全個室のレンタルオフィスもあれば、漫画喫茶のようにパーテーションで区切られているようなレンタルオフィスや、フリーアドレスでどこにでも座って大丈夫なレンタルオフィスもあります。

そして、実際にどのようなレンタルオフィスが営業所として認められるかどうかを以下の表にまとめました。

レンタルオフィスの種類 特徴 可否
個室(中長期契約) 長期で利用できる専有の個室
個室(短期契約) 1日だけ利用できる専有の個室
半個室(中長期契約) パーテーションで区切られた長期間利用できる部屋
半個室(短期契約) パーテーションで区切られた1日だけ利用できる部屋
コワーキングスペース 広い空間を不特定多数の人と共有

この表からも分かるように、古物商の営業所として認められるのは完全個室のレンタルオフィスで、自分専用の部屋として中長期で契約している場合だけです。

一方で、漫画喫茶のようにパーテーションで区切られていたり、カフェのような作りのどこに座っても良いタイプのレンタルオフィスを古物商の営業所として使用することはできません。

レンタルオフィス側が古物商をNGするケースもある

古物商の営業所として要件を満たすレンタルオフィスでも、レンタルオフィス側が古物商の取得をNGするケースもあります。

なぜなら、古物商は中古品を売買する事業なので、レンタルオフィス内にたくさんの中古品在庫を置かれてしまった場合、周りの利用者の迷惑になってしまう可能性があるからです。

特に、レンタルオフィスは低価格で借りれる反面、スペースはかなり狭いケ場合が多いです。

そうなると、その狭いスペースに在庫を置くことは難しいく、スペースをはみ出して在庫を保管されてしまう事を懸念するレンタルオフィスも多いようです。

ですので、完全個室の古物商の要件を満たすレンタルオフィスを見つけた場合でも、古物商の許可を取っても大丈夫なのか事前にレンタルオフィス側に確認しておくことをおすすめします。

取れるかわからないレンタルオフィスは警察署に相談する

上記でも紹介したように古物商の営業所をレンタルオフィスとして使用するには、完全個室タイプのレンタルオフィスを契約する必要があります。

しかし、完全個室と言ってもレンタルオフィスによっては構造も異なるので、個室になっているからと言って必ず認めらるわけではありません。

ですので、もしこれから契約しようとしているレンタルオフィスで古物商の許可が取得できるか不安な場合には事前に管轄となる警察署に相談することをおすすめします。

また、警察署に相談に行く際はレンタルオフィスの内観や外観などがわかる写真等を持参するようにしましょう。

古物商を取ったとしても住所は公表されない

バーチャルオフィスやレンタルオフィスで古物商の許可を取得しようと思う最大の理由は自宅の住所を公開したくないからではないでしょうか?

ただし、古物商の許可を取得したからといって、ネットなどで住所が公開されるわけではありません。

また、ネットで古物営業を行う場合でも、ネットで表記しなければいけない情報は「許可を受けた公安委員会名」、「許可証番号」、「氏名又は名称」であって、住所の表記は義務付けられていません。

ですので、古物商を取得したからといって自宅の住所が晒されるわけではないのです。

特定商取引法に基づく表記で住所を公表しなければならない

古物商を取得したからといって自宅の住所が公表されるわけではありませんが、特定商取引法に基づく表記から自宅住所がわかってしまう可能性があります。

ネットで商品を販売する事業者は事業者の名前や住所、電話番号を記載しなければなりません。

これは特定商取引法に基づく表記というもので、消費者を守る為に法律で定められているのです。

そして、法人であれば法人の住所を記載するので自宅の住所を記載する必要はありませんが、個人が自宅で事業をしている場合には自宅の住所を記載しなければならないというわけです。

自宅住所を公開したくないならレンタルオフィスを借りる

上記でも解説した通り古物商の許可を取得したからといって、自宅の住所が公開されるわけはありません。

ただし、ネットを利用して古物を売買する場合には、特定商取引法に基づく表記をしなければならず、自宅を営業所として古物商をしている場合には必然的に自宅住所や名前、電話番号をネットに公表することになります。

もちとん、法律で定められていることなので表記をしないという事はできませんが、自宅住所をネットに記載するのはやはり抵抗がある方も多いと思います。

ですので、どうしても個人で事業をやっているけど自宅の住所を公開したくないという場合には、レンタルオフィスを借りてその住所を特定商取引法に基づく表記の住所をして記載するようにしましょう。

そうすることで、自宅の住所をネットに公表せずに古物売買をすることができます。

まとめ

この記事のまとめ 

  • 古物商の営業所には要件がある
  • バーチャルオフィスを営業所として古物商は取れない
  • レンタルオフィスを営業所として古物商は取れる場合もある
  • 古物商を取得しただけで住所は公開されない
  • 自宅住所を公開したくない場合はレンタルオフィスを利用する

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古物商の学校では古物商に関する基礎知識から古物商の取り方や、古物商の取得後に必要な手続き、古物商の変更手続きに至るまで専門家が徹底的に解説しています。

 

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