後から古物商の申請をしたら逮捕や罰則を受ける?
古物商の許可が必要と知らずに中古品の売買をしていたり、バレなければ大丈夫だと思って無許可で中古品の売買をしていませんか。
中には、古物商の許可は必要だと知っているけど、事業がある程度軌道に乗ってから古物商の申請しようと考えている方もいるかもしれません。
でも、やはり気になるのが無許可がバレないかや、バレた時に逮捕されたり罰則を受けたりしないかという事だと思います。
そこで古物商の無許可がバレるかや、後から申請した場合に逮捕や罰則があるのかについて解説します。
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古物商の無許可は通報・盗品買取・違法行為・無申告でバレる
まず、古物商を無許可でやっている場合、バレるかどうかについてですが、普通にバレます。
正直言って、ネットで中古品を売買しているだけならバレる要素なんてなさそうですよね?
バレる経緯としては色々ありますが、一般的には以下の4つが良くあるバレるパターンです。
取引相手や同業者からの通報でバレる
最も多いのが通報によって無許可がバレるケースです
例えば、取引相手との間でクレームや返品などのトラブルが発生し、取引相手と揉めてしまった場合に、取引相手が腹いせに無許可営業であることを警察に通報したりします。
特に最近はモンスタークレーマーも多いので、こちら側に何の非がない場合でも通報されてしまう可能性は十分にあります。
その他にも、古物商をもっている同業者が無許可営業のライバル業者を通報するケースも多いです。
同業者としては自分は法律に則って古物商を取得して営業しているのに、無許可営業をしているライバル業者に邪魔されたくないという気持ちから通報するのでしょう。
盗品の買取でバレる
買い取った商品が盗品だった場合にも無許可がバレてしまいます。
例えば、ブランド物のバックを買い取り、別の誰かに販売したとします。
しかし、このバックは盗まれたバックであることが後から判明した場合、警察はそのバックがどのような経緯で今どこにあるのかを捜査します。
その捜査線上の中に盗んだ人からあなたが買取、あなたが別の誰かに販売していた場合には無許可営業であることが警察にバレてしまします。
因みに、この盗品を買い取ってバレてしまうケースも通報によってバレるケースと同様にかなり多いです。
取引相手の違法行為でバレる
盗品の買取以外にも違法行為を行った相手との取引でも無許可がバレる可能性があります。
例えば、取引相手が偽物を販売していたり、古物の無許可営業や他の法律で規制されている商品の無許可販売を行っていた場合です。
この場合、その取引相手が捜査されることになり、結果的にその違法行為を行った取引相手から芋ずる式でバレてしまうというわけです。
特に最近ではネットでの取引がほとんどですので、誰から購入したかや、誰に販売したかなどのデータは全て残っています。
なので自分はしっかりと注意して偽物や盗品など買い取らないようにしているから大丈夫と思っていても、取引相手経由でバレることもあるというわけです。
確定申告の無申告でバレる
これは副業で中古品の売買をしている方に多いのですが、確定申告の無申告で無許可がバレるケースです。
例えば、メルカリやヤフオク、BASE等のサイトから多額の振込があるのに、確定申告がされていない場合に税務署から連絡が入る珍しいパターンです。
もちろん、それが自分の不用品を販売した一時的な入金なら問題ありませんが、定期的に売り上げが振り込まれている場合には事業として取引を行っていると疑われる可能性があります。
その場合に、税務署に無許可で古物商をしていることがバレてしまいます。
ただ、税務署に無許可がバレてしまっても特にそこまで大きな問題ではないのですが、さすがに同じ行政機関にバレたのにそのまま無許可営業を続けるというのは難しいですよね。
また、副業の場合には会社にバレたくないという方も多いと思いますし、何が切っ掛けで会社にバレてしまうかかわらないので注意が必要です。
中古品の売買でも古物商が不要なケースもある
古物商の無許可営業はバレてしまうリスクが大きいので、絶対に古物商の許可を取得した方がいいです。
ただし、中には中古品を販売する場合でも古物商の許可が不要な場合もあり、その場合には古物商の許可を取る必要はありません。
以下では、古物商の許可が必要な場合と不要な場合を簡単にまとめたので、自分に古物商は必要なのか不要なのかを確認してみてください。
また、古物商を取る必要があるかどうかの確認方法をもっと詳しく知りたい方は『古物商はなぜ必要?古物商が必要な場合や古物商ができる仕事例を解説』の記事も読んでみてください。
古物商が必要な場合(メルカリ転売・せどりが該当)
メルカリ転売やせどりで以下の中古品を買い取って販売する場合には古物商の許可が必要です。
取引する商品 | 具体例 |
美術品類 | 絵画、油彩、水彩、版画、彫刻、書画、骨とう品、工芸品、アンティークなど |
衣類 | 婦人服、紳士服、子供服、ベビー服、和服、和服小物、ジーンズなど |
時計・宝装飾品類 | 腕時計、置時計、眼鏡、宝石・指輪・ネックレス、アクセサリー、貴金属類など |
自動車 | 自動車、タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー、部品類など |
自動二輪車及び原付自動車 | オートバイ、原付自転車、マフラー、エンジン、部品類など |
自転車 | 自転車、電動アシスト自転車、一輪車、三輪車、かご、タイヤ、サドル、部品など |
写真機類 | カメラ、アンティークカメラ、写真機、レンズ、ビデオカメラ、顕微鏡、双眼鏡、天体望遠鏡、光学機器など |
事務機器類 | パソコン、パソコン周辺機器、コピー機、FAX、電話機、レジスター、タイムレコーダー、シュレッダー、各種測定機器など |
機械工具類 | 家庭用ゲーム機、家電製品、家庭用電話機、土木機械、工作機械、化学機械 |
道具類 | 家具、楽器、スポーツ用品、日用品、パソコンソフト、ゲームソフト、CD、DVD |
皮革・ゴム製品類 | バッグ、かばん、靴、財布など |
書籍 | 単行本・文庫本・雑誌・漫画・写真集・児童書・辞書・古書・地図など |
金券類 | 商品券、航空券、乗車券、各種入場チケット、郵便切手、テレホンカードなど |
古物商が不要な場合
一方で以下の物をネットなどで販売する場合には古物商の許可は不要です。
私物 | 自分が使用する目的で購入した物を売る場合には古物商は不要 |
新品の物 | 13品目に該当してもお店から購入した新品を売る場合には古物商は不要 |
無料でもらった物 | 無料でもらったものは私物扱いとなるので古物商は不要 |
輸入したもの | 自分が輸入した物を販売する場合には古物商は不要 |
資産・投資目的の貴金属 | インゴット、金貨、金塊、古銭、古札、プラチナなどを売る場合には古物商は不要 |
消費する物 | 食品、お酒、医薬品、香水、化粧品などの消費してなくなるものなどを売る場合には古物商は不要 |
原材料となる物 | 金属くず、鉄くず、銅線、空き缶など原材料として取引されるものを売る場合には古物商は不要 |
実は、私物ということにして無許可で中古品の売買をしようと考える人が多いことも警察はしっかりと把握していて、その点に関しても規制の対象となっています。
例えば、同じような商品を一度にたくさん販売している場合は、私物ではなく古物営業とみなされる場合があります。
もちろん、本当に趣味で集めた私物であれば古物商は不要ですが、購入してすぐに出品していたり、全く同じ商品を何度も出品しているような場合には私物を販売しているという言い訳は通用しないので注意してください。
メルカリで中古品を売買する際は要注意
最近はフリマアプリのメルカリを利用する人も多く、メルカリShopを使わなければ古物商は必要ないと誤解している人が多いです。
しかし、フリマアプリのメルカリでも古物商は必要ですので注意して下さい。
恐らく、多くの人がこのように誤解する理由はメルカリの公式サイトが以下のように説明しているからです。
フリマアプリ「メルカリ」の場合は、誰でも自由に中古品を販売することができます。しかしメルカリShopsで中古品を販売する場合は、古物商許可を取得して、許認可証の画像の提出が必要です。
では、メルカリが嘘をついているのかというと、そういうわけではありません。
そもそも、メルカリはフリーマーケット(私物の不用品を販売する目的)を前提としたアプリなので、中古品の仕入れて販売する業者を対象としていないのです。
実際にメルカリの利用規約にも以下のように記載があります。
第 9 条 商品の出品
4. 法令遵守
ユーザーは、出品にあたっては、古物営業法、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、不正競争防止法、商標法、著作権法その他の法令を遵守しなければなりません。
引用:メルカリ利用規約
つまり、メルカリのスタンスとしては自分の私物を売る場合にはメルカリを利用して、私物以外の中古品販売業をするならメルカリShopを使って下さいというわけなのです。
だから、『メルカリの場合は、誰でも自由に中古品を販売できる』と紹介しているわけで、その結果、メルカリShopを使わなければ古物商は必要ないという誤解が広まってしまっているのです。
古物商の無許可営業の罰則は3年以下の懲役・100万円以下の罰金
最近ではフリマアプリやネットの普及によって手軽に中古品の売買ができるようになった為、無許可で中古品販売業をする方も多いです。
しかし、無許可で中古品販売業を行うと『3年以下の懲役』又は『100万円以下の罰金』もしくはその両方が科されてしまう可能性があります。
中古品の売買で罪に問われるというとあまり想像がつかないかもしれませんが、例えば、医薬品販売業の許可を持っていない人が無許可で薬を売っていたら罪に問われてしまうのはイメージしやすいですよね?
古物商の許可もそれと同じで、許可が必要なのに無許可で行っていた場合には罪に問われる可能性があるのです。
無許可営業で捕まると5年間は古物商の許可を取れない
そして、無許可で捕まってしまった場合には、その後、5年間は古物商の許可を取得することができません。
なぜなら、古物商の許可を取得する要件として、過去5年以内に無許可古物営業などの罪で罰金や禁固刑を受けていないことが条件だからです。
だから、現状は無許可で中古品販売業が上手くいっていたとしても、古物商の無許可営業で捕まってしまった場合には、懲役や罰金以外にもその後5年間は中古品の売買ができなくなってしまうリスクがあります。
ですので、今現在、無許可で中古品販売業をしている方は、すぐに古物商の許可を取るようにしてください。
無許可営業で後から申請しても逮捕や罰則は受けない
もうすでに無許可で中古品販売などの古物営業をはじめてしまっている場合で、これから古物商の許可を申請したら、『無許可営業がバレて逮捕や罰則があるのでは?』と不安になりますよね。
人によって状況が大きく異なるので一概には言えませんが、基本的に後から申請したからといって逮捕されたり罰則を科されたりすることはありません。
実際、これまで私に依頼頂いた方の中にも、後から申請したケースはたくさんありましたが、警察から申請時に注意されたことはあっても、逮捕や罰則を受けたケースは1例もありません。
因みに、無許可営業の期間が長くなればなるほど、売買した数量が多くなればなるほど、無許可で営業したことに対して悪質性があると判断されてしまうので、逮捕や罰則を受けるリスクは高まっていきます。
なので、できるだけ早く違法な営業状態を解消するようにしましょう。
すぐに古物営業を停止する
無許可営業の状態でこれから古物商の許可を申請する場合、まずは、直ぐに古物営業の取引を中止してください。
いくら無許可営業の後の申請で逮捕されたり、罰則を受けないと言っても、さすがに無許可営業を続けた状態で古物商の許可をもらえるほど警察署は甘くないです。
これから古物商の許可を申請する場合には、まず、古物営業を停止して違法状態を解消した上で申請して下さい。
心配な場合には行政書士に相談
無許可で営業してしまっていて、これから古物商の許可を申請するのがどうしても心配だという場合には古物商の専門家である行政書士に相談してみるのも良いと思います。
警察署によっては無許可営業についてかなり厳しく注意されたり、これまでの取引内容等について色々確認されるケースもあります。
そんな時に、専門的な知識がある行政書士のサポートを受けることで、よりスムーズに安心して古物商の許可を取得することができるからです。
弊所にもそのような無許可営業をしてしいまっていて、今から古物商の許可を取りたいからサポートして欲しいというご依頼を数多く受けておりますので、安心してご依頼ください。
古物商についてもっと詳しく知りたい方におすすめの記事
まとめ
この記事のまとめ
- 無許可営業はバレる
- 中古品の売買でも古物商が不要なケースもある
- 無許可の場合には3年以下の懲役・100万円以下の罰金の可能性
- 無許可営業で後から申請しても逮捕や罰則は受けない
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所