台帳のエクセルテンプレートデータが欲しい!
古物商が中古品の売買や交換を行った際に必ず記入しなければいけない古物台帳。
これから、古物商をはじめいようとする人は古物台帳をどのように記載すればいいのかわからないと思います。
そこで、この記事では古物台帳の書き方と注意点について解説します。
また、台帳の無料のエクセルデータを配布していますので、台帳のひな型データが欲しいという方は是非活用してください。
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古物台帳(帳簿)とは?
古物台帳とは、中古品の売買や交換を行った際の取引を記録しておく帳簿のことです。
古物商は中古品の売買や交換を行った場合、その取引の記録を帳簿に記録しなければならないと法律で定められています。
ただ、全ての取引きを記録しなければならないというわけではなく、記録しなくてもいい例外も設けられています。
台帳に記録が必要な取引と不要な取引
売買価格が1万円以上の場合 | 買取時の記録 | 売却時の記録 |
美術品類 | 記録が必要 | 記録が必要 |
時計・宝飾品類 | 記録が必要 | 記録が必要 |
自動車(部品を含む) | 記録が必要 | 記録が必要 |
バイク及び原付(部品を含む) | 記録が必要 | 記録が必要 |
その他の古物 | 記録が必要 | 記録が不要 |
まず、売買価格が1万円以上の古物については、買取時は必ず取引記録が必要となります。
一方で、上記で記載されている美術品や時計、宝飾品、車やバイク以外の古物については、売却時の帳簿への記載は不要となっています。
売買価格が1万円以下の場合 | 買取時の記録 | 売却時の記録 |
バイク及び原付(本体) | 記録が必要 | 記録が必要 |
バイク及び原付(部品) | 記録が必要 | 記録が不要 |
ゲームソフト・CD・DVD | 記録が必要 | 記録が不要 |
書籍 | 記録が必要 | 記録が不要 |
その他の古物 | 記録が不要 | 記録が不要 |
次に、売買価格が1万円以下の古物については、バイク本体やバイク部品、ゲームソフト、CD、DVD、書籍などの限られた物に限り、買取時に古物台帳への記載が必要となります。
一方で、売却時にはバイク・原付本体以外については古物台帳への記載は不要となっています。
また、上記で記載されている一万円以下の古物については、買取にも販売時も古物台帳への記載は不要となります。
なぜ古物台帳への記録が必要?
なぜ、わざわざ中古品の売買の際に、古物台帳に取引を記録しなければならないかというと、盗品等の売買の防止や速やかな発見、被害の迅速な回復を実現する為です。
例えば、買い取った高級腕時計がどこから盗まれた盗品だと後で発覚したとします。
この場合、古物台帳を記載してなければ何処の誰から買い取ったのかわかりません。
また、仮に既に別の誰かに販売してしまっていた場合、どこの誰に販売したのかわからなければ、被害者の高級腕時計の行方がわからなくなってしまいます。
一方で、古物台帳を記録している場合、本人確認を行うので、どこの誰から購入し、誰に販売したかまで明確にわかるので、盗品を被害者に速やかに返却することが可能となります。
しかも、古物台帳の記録を義務付けることで、犯罪者は中古品を売却することが難しくなり、結果的に犯罪の抑制に繋がるというわけです。
台帳に記録しないと6月以下の懲役または30万円以下の罰金
古物台帳への記録は法律により定められた古物商の義務です。
また、古物台帳は記録した日から3年間は営業所に保管しておかなければなりません。
もし、古物の取引き記録を古物台帳に記載していなかった場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金又はその両方が科される可能性があります。
その他にも、場合によっては営業停止処分や古物商の許可取り消し処分などの行政処分が課されてしまうこともあるので、古物台帳は必ず作成するようにしましょう。
古物台帳の書き方と帳簿のエクセルダウンロードリンク
ここからはいよいよ、古物台帳の書き方について解説していきます。
また、無料で使える帳簿のエクセルダウンロードリンクを置いていますので、ご自由にお使いください。
古物台帳に記載が必要な事項
古物台帳には決まった様式はないのですが、国家公安委員会規則で記載しなければならない項目が定められています。
具体的には以下の7つを記載すれば問題ありません。
古物台帳の記載項目
- 取引き年月日
- 取引きの種類
- 品目と特徴
- 取引き数量
- 金額
- 取引き相手の情報
- 本人確認の方法
逆に言うと、上記の情報を記載すれば、それ以外の情報等を付け加えてアレンジしても大丈夫です。
古物台帳の書き方
上記は警視庁のホームページに掲載されている帳簿の例です。
この例を使いながら古物台帳の書き方を解説していきます。
受け入れ・払い出し
受け入れとは在庫の入庫・払い出しとは在庫の出庫を意味します。
ですので、実際には買取を行った際に「受け入れ欄」を記入し、販売した場合に「払い出し欄」を記入します。
受け入れ年月日
商品を買い取った日付けを記入します。
〇月〇日と月日だけではなく、何年の何月何日か分かるように記載して下さい。(例:2024年4月1日、令和6年4月1日など)
受け入れ区分
区分とは取引の種類を意味し、どのような取引で受け入れたのか記載します。
具体的には、「買受」「委託」「交換」の中から実際に行った取引を選択し記入して下さい。
受け入れた商品の品目
受け入れた商品の品目を記入します。
具体的には、「書籍類」や「時計・宝飾品類」、「道具類」など、古物商が取扱うことができる以下の13品目の中から選択します。
古物商の種類 | 具体例 |
①美術品類 | 絵画、版画、彫刻、骨とう品、工芸品、アンティーク・登録火縄銃・登録日本刀など |
②衣類 | 和服、洋服、子供服、和服小物、帽子、ジーンズ、布団、絨毯、旗など |
③時計・宝飾品類 | 腕時計、置時計、眼鏡、宝石・指輪・ネックレス、アクセサリー、貴金属類など |
④自動車 | 自動車、タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー、その他部品類など |
⑤自動二輪車及び原動機付自転車 | バイク本体、原付自転車、マフラー、エンジン、部品類など |
⑥自転車類 | 自転車、電動アシスト自転車、一輪車、三輪車、かご、タイヤ、サドル、空気入れ、その他部品など |
⑦写真機類 | カメラ、アンティークカメラ、写真機、レンズ、ビデオカメラ、顕微鏡、双眼鏡、天体望遠鏡、光学機器など |
⑧事務機器類 | パソコン、パソコン周辺機器、タブレット端末、コピー機、プリンター、FAX、電話機、レジ、タイムレコーダー、シュレッダー、各種測定機器など |
⑨機械工具類 | 家庭用ゲーム機、家電製品、家庭用電話機、土木機械、工作機械、化学機械、医療機器、20トン以下の船舶など |
⑩道具類 | 家具、楽器、スポーツ用品、日用品、釣り具、パソコンソフト、ゲームソフト、CD、DVD、トレーディングカードなど |
⑪皮革・ゴム製品類 | バッグ、かばん、皮靴、財布など |
⑫書籍 | 単行本・文庫本・雑誌・まんが・写真集・児童書・辞書・古書・地図など |
⑬金券類 | 商品券、航空券、乗車券、各種入場チケット、郵便切手、テレホンカード・プリぺーどカードなど |
受け入れた商品の特徴
受け入れた商品の特徴を記載します。
例えば、「パナソニック Let's note SR4 CF-SR4EDMCR [カームグレイ]」といったように記載します。
また、傷や割れている箇所、へこみなどがある場合には、個別具体的な特徴を記載しておくと良いです。
受け入れた商品の数量
中古品なので新品商品のように全く同じ商品を一度に複数仕入れるということはあまりないかと思います。
ですので、基本的には1品ずつ記載するようにしましょう。
但し、例外的に一度に同じ商品複数こ仕入れた場合にはその数量を記載します。
相手方の真偽を確認するために取った措置の区分
買い受けた相手の本人確認をどのように行ったかを記載します。
具体的には、運転免許証や国民健康保険証、マイナンバーカードなのどの提示を受け、どの身分証明証で本人確認をおこなったかを記載します。
受け入れの取引きの相手先
取引き相手の住所・氏名・職業・年齢を記載します。
払い出し年月日
商品を売却した日付けを記入します。
〇月〇日と月日だけではなく、何年の何月何日か分かるように記載して下さい。(例:2024年4月1日、令和6年4月1日など)
払い出し区分
区分とは取引の種類を意味し、どのような取引で払い出したのか記載します。
具体的には、「売却」「委託」「交換」の中から実際に行った取引を選択し記入して下さい。
払い出しの取引きの相手先
売却相手の住所と氏名を記載します。
古物台帳(帳簿)を記録する上での注意点
古物商は中古品の売買を行った場合には古物台帳に記録をしなければならないことは、ここまででも解説してきました。
しかし、古物台帳はただ単に書けばいいというわけではなく、それ以外にも注意しなければならない点がいくつかあります。
その中でも特に重要な3つを紹介します。
- 帳簿の保存期間は3年
- 帳簿を営業所に備付ける
- 帳簿を破損・紛失したら届出る
帳簿の保存期間は3年
古物商は古物台帳に記載した日から3年間は保存しておかなければなりません。
これは、紙であるか、エクセルなどのデータであるかに関係なく最低3年間は保管する必要があります。
また、古物台帳の保管期間自体は3年間保管すれば問題ないのですが、インボイス制度における古物商特例の要件を満たす場合には、消費税法の帳簿(総勘定元帳等)とともに7年間保管しなければなりません。
帳簿を営業所に備付ける
古物商は古物台帳を営業所に保管しておかなければなりません。
こちらも、紙であるか、エクセルなどのデータであるかに関係なく営業所に保管しておく必要があります。
ただ、エクセルなどのデータを台帳として利用している場合、どのようにすれば営業所に台帳を保管していると言えるのでしょうか?
実は、営業所に台帳データが入っているパソコンを置いておくだけでは不十分です。
なぜなら、データで台帳を保管している場合には営業所において直ちに書面で表示できるようにしておかなければならないからです。
具体的には、営業所に台帳データが入っているパソコンと合わせてプリンターを設置しておく必要があるというわけです。
帳簿を破損・紛失したら届出る
古物台帳を紙で作成している場合には、帳簿が破れてしまったり、判読できな状態や、そもそも帳簿自体をなくしてしまった場合には、直ちに営業所の所在地がある管轄の警察署に届出なければなりません。
一方で、エクセルなどのデータベースを帳簿として活用している場合には、データを破損してデータが開けなかったり、データが消えてしまった場合に警察署に届出なければなりません。
注意
因みに、上記3つのどれか1つでも怠ってしまった場合には、6月以下の懲役または30万円以下の罰金又はその両方が科される可能性があります。また、場合にはよっては営業停止命令や許可の取消などの行政処分を受ける可能性もあるので気を付けてください。
メルカリやヤフオクの仕入でも古物台帳の記載が必要!
最近ではメルカリやヤフオクなどでの古物取引を行っている方もかなり多いと思います。
そして、実際に弊所へのご依頼者様からもメルカリやヤフオクについても古物台帳の記録が必要かどうかの相談をされるケースがあります。
結論としては、メルカリやヤフオクを利用する取引においても古物台帳への記録は必要です。
但し、注意しなければならないのは、メルカリやヤフオクの場合には対面とは異なり、本人確認のハードルがかなり高いという点です。
メルカリやヤフオクでの本人確認は現実的にムリ
古物台帳に取引記録を記入する場合、必ず本人確認を行わなければなりません。
では、メルカリやヤフオクで取引を行う場合に、どのように本人確認を行えばいいかかというと、「非対面取引における確認の方法」を実施する必要があります。
「非対面取引における確認の方法」とは、ネットやFAX、電話など対面しないで買い受け等を行う(非対面取引)場合、相手方が申し立てた住所、氏名等が真正なものであるか、「なりすまし」ではないか等を確認するための方法です。
具体的な確認方法については「古物商の本人確認|法人や店舗仕入れの場合は?1万円以下の場合は?」で解説していますが、正直いってメルカリやヤフオクを利用している一般ユーザーが本人確認を行う事は現実的に困難だと言えます。
メルカリやヤフオクで合法的に仕入れる方法
では、メルカリやヤフオクで中古品を仕入れる古物営業はできないのでしょうか?
結論としては、できなくはないけど工夫が必要です。
では、具体的にどのように仕入れればいいかというと、本人確認が不要な商品をメルカリやヤフオクで仕入れればいいわけです。
例えば、冒頭でも解説した通り、売買価格が1万円以下の古物については、バイク本体やバイク部品、ゲームソフト、CD、DVD、書籍などを除けば、古物台帳への記載は不要となる為、本人確認をする必要はありません。
これらの古物台帳に記帳が義務化されていない商品のみをメルカリやヤフオクから仕入れることによって、合法的に古物取引を行う事ができるわけです。
まとめ
この記事のまとめ
- 古物商は必ず帳簿を記載しないといけない
- 帳簿に記載が不要な例外商品もある
- 台帳は3年間営業所で保管しなければならない
- データで台帳を作成する場合は書面で表示できるようにする
- メルカリやヤフオクで本人確認を行うのは現実的に厳しい
- メルカリやヤフオクでの仕入れは本人確認が不要な商品に絞る
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所