外国在住の役員がいても古物商は取れる?
外国人の方が古物商を取得する場合、外国籍のままでは取得できない書類があるため一般的な申請の仕方とは少し異なります。
そこで、この記事では外国人の方が古物商の許可を取得するための注意点や流れがわかるマニュアルを作成しました。
外国人の方が古物商の許可を取得する際にぜひ参考にして診てください。
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外国人が古物商を取得する際に注意すべき点
外国人の方でも日本人とほとんど同じように古物商の許可を取得することが可能です。
ただ、外国人の方が古物商の許可を取得する場合には、以下の点で注意が必要です。
- ビザ(在留資格)の種類によっては古物商が取れない
- 申請に必要な書類(身分証明書)が取れない
- 住民票に国籍や在留番号等を記載しなければならない
- 管理者になる人は日本語を話せないといけない
ビザ(在留資格)の種類によっては古物商が取れない
外国人の方はビザ(在留資格)を取得して日本に滞在していますが、ビザ(在留資格)の種類によっては古物商の許可が取得できないビザ(在留資格)もあります。
ですので、外国人の方が古物商の許可を取得する際には、まずは自分が古物商の許可を取得することができるビザ(在留資格)を持ってかを確認してください。
以下の表はそれぞれの在留資格別の古物商の許可取得が可能かどうかをまとめた表です。
因みに、古物商に関する資格外活動許可が認められている場合には、技術・人文知識・国際業務でも古物商の許可を取得できる可能性があるため△としています。
ただし、資格外活動許可で認められていない場合には、技術・人文知識・国際業務で古物商の許可を取得することはできません。
申請に必要な書類(身分証明書)が取れない
古物商の申請に必要な書類の一つに「身分証明書」という書類があります。
この書類は免許証やパスポートなどとは異なり、日本人しか取得することができない書類であるため、外国人の方が取得することができません。
では、どうすればいいかというと、管轄の警察署に確認する必要があります。
具体的には、「外国籍なので身分証明書を取得できないのですがどうすればいいですか?」と相談すれば大丈夫です。
そうすると、おそらく警察署から以下のどちらかの回答があります。
回答例
- 在留カードの裏表のコピーを添付してください
- 身分証明書はなくても大丈夫です
対応は管轄の警察署によって異なるので、警察の指示に従って申請すれば問題ありません。
住民票に国籍や在留番号を記載しなければならない
日本人が古物商を取得する場合、本籍地入りの住民票を取得しなければなりません。
しかし、外国人の方は本籍が外国にあるため、本籍地入りの住民票を取得することはできません。
ですので、その代わりに以下の内容が記載された住民票を取得する必要があります。
記載が必要な内容
- 国籍
- 在留資格
- 在留カード番号
因みに、マイナンバーについては記載があると警察署で受理してもらえない為、マイナンバーカードの番号は必ず記載しないようにしてください。
管理者になる人は日本語を話せないといけない
古物商の営業所には必ず1人は管理者を設けなければなりません。
管理者というのは、わかりやすくいうと中古品の買取や販売を法律に従って適正に行う責任者のことです。
つまり、古物商の管理者は中古品の売買に関する日本の法律をしっかりと理解する必要があります。
又、古物営業を行っていると、時には警察からいろいろな確認をされることもあります。
その際には、日本語で警察署とやり取りをしなければなりません。
その為、古物商の管理者になる方は日本語を話せる必要があります。
ですので、もし古物商を取得する外国人の方が日本語を話せない場合には、日本語を話せる人を別で管理者として置かなければなりません。
外国人が古物商を取得するための要件
上記では外国人が古物商を取得する上で注意しなければいけない点について解説しました。
しかし、外国人の方が古物商の許可を取得するには、それ以外にも満たさなければいけない要件があります。
それは以下の10個の欠格事由に該当しないことです。
この欠格事由は外国人だけではなく、日本人が古物商を取得する場合にも満たさなければいけない要件で、この欠格事由に該当する場合には必ず古物商の許可を取得できませんので注意してください。
因みに、欠格事由について詳しく知りたい場合には、以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてみてください。
外国人が古物商を申請する場合の必要書類一覧
外国人の方が古物商の許可を申請する場合には以下の書類が必要となります。
ただし、古物商許可申請で必要となる書類は、法人で申請するか個人で申請するかや、申請する場所や内容によって異なる点は注意が必要です。
個人 | 法人 | |
申請書 | 必要 | 必要 |
URLの使用権限を疎明する資料 | △ | △ |
住民票 | 必要 | 必要 |
身分証明書 | 必要 | 必要 |
略歴書(代表者) | 必要 | 必要 |
略歴書(役員分) | 不要 | 必要 |
略歴書(管理者分) | △ | △ |
誓約書(個人用) | 必要 | 不要 |
誓約書(役員用) | 不要 | 必要 |
誓約書(管理者用) | 必要 | 必要 |
法人の登記事項証明書 | 不要 | 必要 |
定款の写し |
不要 | 必要 |
まず、URLの使用権限を疎明する資料についてはネットで売買をする場合には必要となりますが、店舗のみで販売する場合には不要となります。
次に、管理者の略歴書についてですが、代表者や法人の役員が管理者を兼任する場合には、わざわざ同じ書類を2枚作成する必要がないため兼任する人の略歴書を1枚準備すれば大丈夫です。
一方で、管理者用の誓約書については、仮に代表者や法人の役員が兼任する場合でも、省略することはできず、必ず作成が必要となるので注意してください。
外国人が古物商を取得する流れ
「外国人が古物商を取得する際の注意点」や「欠格事由」を確認し、問題がなければ古物商の許可を取得することができます。
ですので、ここからは外国人の方が古物商の許可を取得する流れについて説明します。
具体的には以下のような流れで古物商の許可を取得します。
古物商の営業所を決める
管轄の警察署に相談する
古物商の必要書類を収集する
古物商の申請書を作成する
警察署に申請書を提出する
古物商許可証を受け取る
古物商の営業所を決める
まずは、古物商の営業所を決めます。
営業所は事務所はもちろんのこと、自宅を営業所として登録することが可能です。
ただし、注意点としては自宅を営業所とする場合、賃貸マンションや賃貸アパートの場合には許可を取得しにくい場合もあります。
ですので、もし賃貸マンションや賃貸アパートなどで古物商を取得する場合には事前に管轄の警察署に確認することをおすすめします。
管轄の警察署に相談する
古物商の営業所が決まったら、次は営業所の管轄の警察署に事前に相談に行きます。
というのも、古物商の許可は申請する警察署によって必要書類などが若干異なるからです。
特に、外国籍の方が古物商を取得する場合には上記でも解説した通り、「身分証明書」が取得できないため、どのような書類を申請の際に準備した方がいいかを確認しておく必要があります。
古物商の必要書類を収集する
警察署への相談が終わったら、警察署で確認した必要書類を収集します。
必要書類に関しては上記でも既に解説していますが、申請内容によって異なるので間違いないように収集するようにしてください。
古物商の申請書を作成する
必要書類の収集が終わったら、集めた書類をもとに申請書を作成します。
申請書の記入方法についても、警察署に相談に行った際に説明があると思うのでその通りに記載してください。
注意点としては、申請書に記載する内容については法人の登記簿や住民票に記載されている名前や住所通りに記入する点です。
なぜなら、警察署によっては登記簿や住民票に記載されている通りに書かれていないと修正を求められるケースもあるからです。
警察署に申請書を提出する
必要書類の収集や申請書の作成が完了したら警察署に申請書を提出しに行きます。
申請する際には事前に警察署に電話をして予約してから提出しに行くようにしてください。
というのも、警察署の担当者が不在だったり、忙しくて申請書を受け付けることができないこともよくあるからです。
そして、必要書類や申請書の記入内容に問題がなければ、古物商の申請手数料19000円を支払い申請が完了となります。
古物商の許可証を受け取りに行く
古物商の申請書を提出してから大体40日程度で審査が完了します。
そして、許可がおりると警察署から連絡が入るので、申請書を提出した警察署に古物商の許可証を受け取りに行きます。
これで古物商の許可の取得が完了となります。
外国在住役員がいても古物商は取れる?
ここまでは外国籍の古物古物商の取得方法について解説してきました。
ただ、中には外国に在住している役員がいる法人の場合もあるかと思います。
ですが、外国在住の役員がいる場合でも古物商の取得は問題なく可能です。
例えば、法人の取締役の1人が海外に住んでいる場合や、法人の代表取締役が海外に住んでいる場合です。
この場合でも、日本国内に古物商の管理者がいるのであれば、古物商の許可取得は可能です。
一方で、申請者と管理者の両方が海外に住んでいる場合には古物商の許可を取得することはできません。
外国在住役員がいる場合の古物商を取得に関する注意事項
外国在住の役員がいる場合、以下の点で注意が必要です。
- 住民票に代わる現住所の確認書類
- 身分証明書に代わる書類
- 誓約書
- 略歴書
因みに、外国在住の役員がいる場合の申請はイレギュラーな申請となります。
よって、全国的に決まった対応があるわけではなく、各都道府県の警察署によって対応が異なるで、事前に管轄の警察署に確認してから進めるようにしてください。
住民票に代わる現住所の確認書類
古物商の申請には住民票を提出しなければなりませんが、外国在住の役員の方は日本の住民票を取得することができません。
ですので、住民票に代わる現住所を確認する書類の提出が必要となります。
具体的には以下の書類が住民票に代わる書類として認められるケースが多いです。
住民票の代わりの書類例
- 現住所宛の消印が押された郵便物
- 現住所の公的機関が発行している住所を証明する書類
- パスポートや運転免許証等のコピー
因みに、これらの書類は現地の言語で記載されているので、コピーとは別に記載されている内容を翻訳した書面も添付しなければなりません。
又、住民票の代わりとなる書類については、警察署によって取り扱いが若干異なります。
例えば、免許証やパスポートでは認められないケースも中にはある為、事前に管轄の警察署に確認することをおすすめします。
身分証明書に代わる書類
身分証明書についても日本で発行している書類のため、外国在住の方は身分証明書を発行することができません。
ですので、身分証明書についても身分証明書に代わる書類を提出する必要があります。
ただ、身分証明書に関しては住民票とは異なり、外国在住の場合には代わりとなる書類を求められるケースはほとんどありません。
とはいえ、警察署によっては別の書類を求められる可能性もあるので、こちらも事前に管轄の警察署に確認しておいた方がいいです。
誓約書の確認
古物商を取得するには法人のすべての役員が欠格事由に該当しない必要があります。
そして、欠格事由に該当しないことを約束する書類として、法人のすべての役員は誓約内容を確認し、誓約書に署名をしなければなりません。
ですので、誓約書の内容を外国語に翻訳し、誓約書の内容を確認してもらう必要があります。
又、誓約書のサインについては外国在住役員にサインをしてもらうことをかなりハードルが高いと思います。
そこで、警察署によっては代筆等が認められている警察署もあるので、事前に警察署に代筆でも大丈夫か相談をするようにしてください。
略歴書の記載
古物商の申請には法人のすべての役員の過去5年間の略歴を記載した書類を提出する必要があります。
ですので、外国在住役員の略歴書も作成しなければいけません。
略歴書についても各警察署によって、若干対応は異なります。
例えば、住所や会社名の表記を外国語のまま記載し翻訳文をつける場合や、日本語に訳した内容で略歴書に記載するような場合があります。
ですので、略歴書についても管轄の警察署の指示に従って作成するようにしてください。
外国人の方が古物商を取得する場合には代行がおすすめ
ここまで、外国人の方が古物商を取得する上での注意点や流れについて解説してきました。
ただ、専門的な言葉や難しい日本語が多くてなかなか分かりにくかったという人も多いと思います。
特に、外国人の方が古物商を取得する場合には、必要書類等がイレギュラーになるので、日本人が取得する場合よりも難易度が高いです。
ですので、外国人の方が古物商の許可を取得するのであれば専門家に依頼することをおすすめします。
弊所では、これまでにたくさんの外国人の方の許可や、外国在住の役員がいる法人様の許可をたくさん取得してきました。
ですので、もし、古物商の取得が難しいと感じた場合には、ぜひ弊所にご依頼ください。
まとめ
この記事のまとめ
- 外国人でも古物商の許可は取れる
- ビザ(在留資格)によっては取れない場合もある
- 必要書類は警察署の管轄によって異なる
- 事前に警察署に相談に行くのがベスト
- 難しいと感じたら専門家に依頼する選択肢も
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所