古物商取得後の手続

古物商の法律違反したらどうなる?どんな罰則がある?行政処分とは?

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古物商の法律に違反どうるなる?
行政処分って何?どんな罰則があるの?
古物商の初心者
古物商の初心者

古物商は古物営業法という法律により義務や禁止事項がさだめられています。

ただ、どのようなことをすると法律違反になるのかや、法律に違反した場合にどんな罰則があるのかわからないか方も多いです。

そこで、この記事では古物商の法律に違反した場合どうなるのかや、どのような罰則があるのかについて解説します。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。古物商専門の行政書士。古物商の許可に関するメディアサイト「古物商の学校」を運営しており、古物商の許可取得実績500件以上。古物商許可の取得率100%
 

古物商の法律に違反するとどうなる?

古物商の法律に違反した場合にどうなるかというと、以下の2種類の可能性があります。

  1. 罰則(懲役や罰金)
  2. 行政処分(許可取消や営業停止)

古物商の法律違反による罰則

罰則とは、法律を破ったことに対して課される「刑罰」のことで、法律を守らなかったことに対する制裁として罰が与えられます。

罰則には、罰金や懲役、拘留などがあります。

例えば、無許可営業の場合には3年以下の懲役又は100万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。

罰則の目的は、違法行為を行った個人に対して罰を与えることで、再発防止や社会的な秩序の維持を図ることです。

古物商の法律違反による行政処分

一方で「行政処分」は、特定の法律や規則に従わなかった場合に、行政機関が行う措置です。

これは違反行為を是正したり、公共の利益を守るために行われます、行政処分には許可取消や営業停止などがあります。

例えば、不正な手段により古物商の許可を取得した場合に、古物商の許可の取消処分などがあります。

行政処分は刑罰ではなく、業務や資格に対して行われる行政的な措置であり、違反を直接罰することが目的ではなく、規則に基づく業務運営の健全化や公共の安全を守るための対応が主な目的です。

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特に注意が必要な古物商の法律違反は5つ

後述しますが、古物商にはたくさんの法律違反が存在します。

もちろん、どの内容も必ず守らなければいけないのですが、その中でも特に多くの方が犯しやすい法律違反は以下の5つです。

  1. 無許可営業
  2. 本人確認等義務違反
  3. 台帳への記録義務
  4. 古物商プレートの掲示義務
  5. 変更届出義務違反

無許可営業

中古品を売買する場合に、古物商の許可を取得しなければならないと法律で定められています。

なぜ、中古品を販売するのに古物商の許可が必要かというと、中古品の売買を許可制にすることで盗まれた物の売買を未然に防いだり、盗まれた物をすぐに発見できるようにする為です。

例えば、高級時計を盗んだ強盗犯がその時計を誰にでも買い取ってもらうことができてしまったら、盗んだ物を簡単に現金化できてしまうので、世の中にもっと窃盗や強盗が増えてしまうかもしれません。

その為、法律により中古品を販売する場合には、古物商の許可が必要とされているわけです。

それにも関わらず、無許可で古物営業を行った場合には無許可営業に該当し、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。

また、無許可営業は多くの方が思っている以上にバレてしまうので、くれぐれも無許可営業を行わないようにしましょう。

本人確認等義務違反

古物商は中古品を買い取ったり、交換等を行った場合には、取引相手の本人確認を行わなければなりません。

これは盗品を中古品市場に流入することを防止するためで、国家公安委員会規則で定められた方法で確認を行わなければなりません。

具体的には、運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどの身分証明書により、相手方の住所・氏名・職業及び年齢を確認します。

ただし、全ての場合に本人確認を行わなければならないわけではなく、例外も設けられています。

それが以下の2つの場合です。

本人確認義務の例外

  1. 対価の総額が一万円未満の取引をする場合(ただし1万円以下の少額でも窃盗・盗品の被害が多いバイク関連商品、ゲーム関連商品、CDやDVD、書籍などは記録義務が免除されません。)
  2. 自分が売却したものを、売却相手から買い受ける場合

上記の場合には、本人確認義務が例外として認められています。

そして、例外の場合を除き、本人確認義務を怠った場合には本人確認等義務違反となり、6月以下の懲役または30万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。

台帳への記録義務違反

古物商は中古品を買い取ったり、交換等を行った場合には、古物台帳に取引記録を残さなければなりません。

また、古物台帳についても記載する内容については国家公安委員会規則で定められており、以下の点を記録する必要があります。

記録する項目

  • 取引の年月日
  • 古物の品目と数量
  • 古物の特徴
  • 古物の買取相手又は販売相手の住所・氏名・職業・年齢
  • 本人確認の区分

因みに、本人確認の区分とは、本人確認をどのような方法(運転免許証や健康保険証、マイナンバーカード)によって確認を行ったかです。

また、この台帳記録義務にも本人確認と同様に例外が設けられています。

どのような例外があるかというと以下のような場合です。

取引の記録義務の例外

  1. 一万円未満の古物を買い取りする場合(ただし1万円以下の少額でも窃盗・盗品の被害が多いバイク関連商品、ゲーム関連商品、CDやDVD、書籍などは記録義務が免除されません。)
  2. 自分が売却したものを、売却相手から買い受ける場合
  3. 美術品・時計・宝飾品・自動車・バイク等以外を売却する場合

これらの場合には、取引の記録義務が免除されます。

そして、例外の場合を除き、台帳の記録義務を行った場合には6月以下の懲役または30万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。

古物商プレートの掲示義務

古物商は購入の見えやすい場所に、古物商プレートを掲示しなければなりません。

これはインターネットだけで売買する場合でも、事務所に古物商プレートを掲示することが義務付けられています。

また、個人で古物商を取得した場合には自宅を営業所としているケースも多いかと思いますが、自宅が営業所の場合でも古物商プレートを掲示しなければなりません。

そして、もし古物商プレートの掲示を怠った場合には、10万円以下の罰金が科される可能性があります。

変更届出の提出

古物商は警察署に届出ている内容に変更があった場合には、必ず変更届を提出しなければなりません。

具体的には以下のような内容に変更があった場合には変更届が必要です。

変更届が必要な場合

  • 代表者の住所変更
  • 管理者の住所変更
  • 営業所の住所変更
  • 法人役員の変更
  • 取扱う古物の変更
  • 通販サイトの追加
  • etc

また、この変更届は提出期限は設けられており、変更の3日前に届出なければならない事前届出や、変更後14~20日以内に届出なければいけない事後届出があります。

ですので、何か変更事由が発生しそうな場合には、必ず事前に期限を確認しておくようにしてください。

そして、この変更事由が発生したにも関わらず、変更届を提出しなかった場合には10万円以下の罰金が科される可能性があります。

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古物商の法律違反の内容と罰則一覧

上記では多くの古物商が犯してしまいがちな法律違反を紹介しましたが、古物商にはそれ以外にもたくさんの守らなければならない法律があります。

以下では古物商の法律違反の内容と、その違反をした際の罰則について簡単に解説します。

罰則 違反内容
3年以下の懲役
または
100万円以下の罰金
①無許可営業
②名義貸し
③不正手段により許可を受ける行為
④営業停止命令違反
1年以下の懲役
または
50万円以下の罰金
⑤古物商の営業制限違反
6月以下の懲役
または
30万円以下の罰金
⑥古物市場での取引制限違反
⑦本人確認等義務違反
⑧帳簿等記載等義務違反
⑨帳簿等備付け等義務違反
⑩帳簿等き損等届出義務違反
⑪品触書保存等義務違反
⑫品触れ相当品届出義務違反
⑬差止め物品保管義務違反
20万円以下の罰金 ⑯許可申請書等虚偽記載
10万円以下の罰金 ⑰立入り等の拒否等
⑱許可証返納義務違反
⑲許可証携帯等義務違反
⑳報告義務違反
㉑標識掲示義務違反
㉒変更届出義務違反
拘留または科料 ㉓過失による品触れの届出違反
5万円以下の過料 ㉔許可証の再交付における許可証の返納義務違反
営業停止命令 ㉕管理者選任義務違反
㉖不正品申告義務違反
㉗指示違反

①無許可営業

無許可営業とは古物商の許可がないにも関わらず、古物の売買等の古物営業を行う行為です。

例えば、古物商の許可がないのに中古品の転売を行う行為などが無許可営業に該当します。

また、個人で古物商の許可を取得後に法人成りしたにも関わらず、そのまま個人の古物商の許可を使い続けている場合にも法人は無許可営業に該当するので注意が必要です。

②名義貸し

名義貸しとは古物商の許可を第三者に貸して、第三者がその古物商の許可を使って古物営業を行う場合です。

借りた方は無許可営業に該当しますし、貸したほうについては名義貸しに該当します。

特に、自分が欠格事由に該当するため、家族や知り合いなどに代わりに古物商の許可を取得してもらう場合には、自分だけではなく家族や知り合いなども罰せられてしまう可能性があります。

その他、①の無許可営業の所でも触れましたが、個人から法人成したにもかからわず、個人の許可証を法人が使用することは、個人の名義貸しに該当するので注意してください。

③不正手段により許可を受ける行為

古物商を取得する際に虚偽の申請内容で書類を作成し、古物商の許可を取得した場合です。

例えば、古物商の申請書に嘘の内容を記載し、申請をした上で、古物商の取得した場合に該当します。

ミスなどで実際とは異なる内容で申請してしまった場合には問題ありませんが、故意で虚偽の申請内容で申請した場合には罰せられる可能性があります。

④営業停止命令違反

古物商の営業停止命令を受けたにも関わらず、無視して営業を継続した場合です。

営業停止命令とは行政処分の一種で、営業停止命令を受けると最長6カ月間は古物商の営業を停止しなければなりません。

その営業停止命令を受けているにも関わらず、古物営業を行った場合に該当します。

⑤古物商の営業制限違反

古物商には営業できる場所に制限が設けられています。

具体的には、古物商は「営業所」か「引相手の住所」でしか取引をしてはいけません。

なので、例えば、中古品を買い取る場合に営業所や取引相手の住所以外で中古品を買い取った場合には営業制限違反となります。

一方で、仮設店舗の届出を警察署に提出している場合には、仮設店舗でも取引を行う事が可能となります。

⑥古物市場での取引制限違反

古物市場においては、古物商同志でしか取引をしてはいけません。

もし、古物市場で古物商ではない人と取引をした場合には取引制限違反となります。

⑦本人確認等義務違反

古物商は中古品を買い取った場合、相手の住所、氏名、職業及び年齢を確認しなければなりません。

この確認を怠った場合には確認等義務違反に該当します。

しかも、本人確認の方法に関しては国家公安委員会規則で定められた方法で確認しなけらればなりません。

なので、本人確認を行っていても、決められた方法で本人確認を行ったいない場合には確認等義務違反となります。

⑧帳簿記載等義務違反

古物商は中古品の買取及び、販売を行った場合には帳簿に取引内容を記載しなければなりません。

しかも、記載する内容については国家公安委員会規則で定められており、「取引年月日」「中古品の品目及び数量」「中古品の特徴」「取引相手の住所・氏名・職業・年齢・特徴」「本人確認方法の種類」を帳簿に記載しなければなりません。

この記載を怠った場合には帳簿記載等義務違反に該当します。

ただし、帳簿の記載が不要な例外もあるので、例外に該当する古物を取り扱った場合に帳簿に記載しなかったとしても違反にはなりません。

⑨帳簿等備付け等義務違反

古物商は取引を記録した帳簿を営業所に保管しておかなければなりません。

そして、その保管期間は最低3年間です。

また、古物商の取引記録をエクセルなどのデータで保管している場合、警察から求められた際にすぐに印刷できる状態で保管しておく必要があります。

これらが守られていない場合には帳簿等備付け等義務違反に該当します。

⑨帳簿等き損等届出義務違反

帳簿を無くしたり、毀損してしまったり、盗み取られてしまった場合には、すぐに警察署に届け出なければなりません。

もし、無くしたり毀損しているのにも関わらず届け出なかった場合には違反となります。

⑩品触書保存等義務違反

品触書とは窃盗事件などの被害品で、特徴などから他の類似品と区別できる場合に警察署が発行する手配書のことです。

古物商はこの品触書を受け取ったら、品触書も受け取った日を記載し、受け取った日から6ヶ月間は品触書を保管しなければなりません。

もし、6ヶ月間保管していなかった場合には、品触書保存等義務違反に該当します。

⑪品触れ相当品届出義務違反

品触書に記載されている盗品と思われる古物を所持又は取引した場合には、警察署に報告しなければなりません。

そして、もしこの報告を怠った場合には法律違反となります。

⑫差止め物品保管義務違反

品触に該当する商品だと判明した場合、その商品を警察署は保管し取引を差し止めを命じることができます。

そして、差し止めを受けた場合、その商品を売ったり捨てたりすることはできません。

また、委託を受けて販売していた商品を差し止めされた場合には、その商品を委託者に返すこともできません。

この差し止め命令に違反して取引を行った場合には差止め物品保管義務違反となります。

⑬許可申請書等虚偽記載

古物商の申請に虚偽の情報を記載して申請することはできません。

例えば、引っ越しをして住所が変わっているのに、前の住所を記載して申請するなどが該当します。

その他にも、記載内容ではなく前住所のままの住民票を提出する等、虚偽の添付書類を提出した場合にも許可申請書等虚偽記載に該当します。

⑭立入り等の拒否等

警察は古物商の営業所に立入調査をすることができます。

立入調査とは警察が盗品が紛れ込んでいないかのや、古物商プレートが掲示されているかや、帳簿に取引記録を記載しているかの確認のために営業所に入って調査する行為を言います。

そして、古物商は警察の立入調査に必ず協力しなければならず、立入調査の妨害や無視をしたり、立入調査を拒否した場合に違反となります。

⑮許可証返納義務違反

古物商の許可証を返納しなければならない場合があります。

例えば、古物商の営業を辞めたり、古物商の許可が取り消された場合なのです。

このような場合、古物商の許可証を警察署に返納しなければなりませんが、返納しなかった場合に許可証返納義務違反に該当します。

⑯許可証携帯等義務違反

古物商の許可証の携帯を義務付けられている場合があります。

例えば、営業所以外で中古品を買い取ったり、販売したりする場合には許可証の携帯が義務づけられています。

この場合には、必ず古物商の許可証を携帯しなければならず、また、取引相手から提示を求められた場合には許可証を提示しなければなりません。

もし、このような場合で古物商の許可証を携帯していない場合には許可証携帯等義務違反に該当してしまします。

⑰報告義務違反

古物商は盗品などを買い取ったり、盗品などの情報がわかったら警察署に速やかに報告しなければなりません。

また、警察から盗品に関する情報を聞かれた際は、知っている情報を警察に提供する必要があります。

それにも関わらず、知っている情報を黙っていたり、嘘の情報を警察に提供した場合には報告義務違反に該当します。

⑱標識掲示義務違反

古物商は公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定められた様式の古物商プレートを掲示しなければなりません。

また、ホームページ等を保有している場合には、許可を受けた公安委員会の名称と許可証の番号を表示しなければなりません。

もし、これらを怠った場合には標識掲示義務違反に該当します。

⑲変更届出義務違反

古物商は警察署に届出ている内容に変更があった場合には、警察署に変更届を提出しなければなりません。

例えば、申請者の住所が変わったり、管理者の住所が変わったり、法人の役員が交替したような場合です。

このような場合には定められた期間内に変更届を提出する必要があります。

それにも関わらず、変更内容を届け出なかった場合や、嘘の情報を記載して届出た場合には変更届出義務違反に該当します。

⑳過失による品触れの届出違反

過失による品触れの届出違反とは、品触れを受けた商品を過失により届出なかった場合の違反です。

過失とは不注意のことで、古物商は故意に品触れ商品を届け出なかった場合はもちろんのこと、不注意で品触れ商品の届出を怠った場合にも違反となります。

例えば、品触れ書を受取っているのに品触れ書確認していなかったり、品触れ商品であると気づいていたのに届出を忘れてしまっていた場合などが該当します。

㉑許可証の再交付における許可証の返納義務違反

古物商の許可証を紛失してしまった場合、古物商の許可証を再発行してもらうことができます。

そして、再発行をしてもらった後に、紛失していた古物商の許可証が見つかった場合、出てきた古物商の許可証を警察署に返納しなければなりません。

もし、前の古物商許可証が出てきたにも関わらず返納しなかった場合には、義務違反に該当します。

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古物商の法律違反の内容と行政処分一覧

上記では古物商の法律違反の内容と、その違反に伴い受ける可能性がある罰則について簡単に解説しました。

さらに、ここからは、古物商の法律違反を犯すことにより、課される可能性がある行政処分について簡単に解説します。

行政処分
許可の取消し ①名義貸し
②不正手段により許可を受ける行為
③営業停止命令違反
営業の停止 ④管理者選任義務違反
⑤不正品申告義務違反
⑥指示違反

①名義貸し

名義貸しとは古物商の許可を第三者に貸して、第三者がその古物商の許可を使って古物営業を行う場合です。

借りた方は無許可営業に該当しますし、貸したほうについては名義貸しに該当し、古物商の許可を取り消される可能性があります。

また、個人から法人成したにもかからわず、個人の許可証を法人が使用することは個人の名義貸しに該当し、もし、個人の許可を取り消されてしまった場合には古物商の欠格事由に該当し、法人でも許可がとれなくなってしまうので注意が必要です。

②不正手段により許可を受ける行為

古物商を取得する際に虚偽の申請内容で書類を作成し、古物商の許可を取得した場合です。

例えば、古物商の申請書に嘘の内容を記載し、申請をした上で、古物商の取得した場合に該当します。

ミスなどで実際とは異なる内容で申請してしまった場合には問題ありませんが、故意で嘘の申請内容で申請して許可を受けた場合には古物商の許可を取り消される可能性があります。

③営業停止命令違反

古物商の営業停止命令を受けたにも関わらず、無視をして営業を継続した場合です。

営業停止命令は何らかの法律違反等により、古物商の営業停止を命令され、最長6カ月間は古物商の営業を停止しなければなりません。

その営業停止命令を受けているにも関わらず、古物営業を行った場合に古物商の許可を取り消されてしまう可能性があります。

④管理者選任義務違反

古物商は営業所ごとに、その営業所の業務を適正に実施するための責任者として管理者を1人選任しなければなりません。

そして、「未成年者」「成年後見人若しくは被保佐人」「破産者で復権を得ていない者」「住所の定まらない者」「過去五年以内に罰金刑又は禁固刑以上の刑を受けた者」などは選任することは出来ません。

また、古物商は選任した管理者に対して、不正品であるかどうかの判断をするための必要な知識や技術又は経験を得させる努力義務も課されています。

具体的には、自動車やオートバイの車体、車体番号打刻部分等における会オズ等の有無や、改造等がある場合にはその態様・程度を判断するために必要な知識や技術、経験であって、古物営業の業務を3年以上従事した者が通常有するようなものです。

これらの義務を怠った場合には管理者選任義務違反に該当し、営業停止となってしまう恐れがあります。

㉕不正品申告義務違反

古物商は、買い受けた古物や売却の委託を受けた古物が不正品があると認めた場合には、直ちに警察署にその旨を申告しなければなりません。

これは、盗難や窃盗によって古物市場に流入した古物の被害者の迅速な回復を目的として課されている義務です。

この申告を怠った場合には、不正品申告義務違反に該当し、営業停止になってしまう可能性があります。

不正品かどうかの判断は、持ち込まれた古物の種類や数量、相手の態度や年齢、職業などから総合的に判断して、盗品の取り扱いを未然に防がなければなりません。

又、自動車やオートバイなどを取り扱う場合には、営業所の管理者に対して不正品であるかどうかを見抜くための知識や技術などの経験を得させるように努めなければなりません。

㉖指示違反

指示とは、営業停止になるような原因が発生している場合に、直ちに営業停止を命令するのではなく、その原因を改善するように注意することをいいます。

例えば、不正品の申告を怠っていた場合に、警察から不正品の申告を直ちに行うように指示を受けたにも関わらず拒否した場合や、無視した場合です。

このような場合には、指示違反に該当し、営業停止になってしまう可能性があります。

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古物商の法律違反で逮捕された事例もある

ここまで、古物商の法律違反に関する罰則について解説してきましたが、中には古物商の法律違反を軽視している人も多いです。

しかし、過去には逮捕された事例もあるので、自分は大丈夫だろうと法律違反を甘く見ない方が良いと思います。

以下では、古物営業法違反により逮捕された事例を紹介します。

アイドルグループ「嵐」のコンサートチケットを無許可で転売したとして、北海道警は14日、香川県善通寺市善通寺町7丁目のブリーダーの女(25)を古物営業法違反(無許可営業)の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。

引用:朝日新聞デジタル

この事例は、最近でも特に話題になっているチケット転売において、無許可で古物営業を行っていたとして逮捕されたものです。

ただ、チケットに関しては、2019年6月14日に「チケット不正転売禁止法」を施行されたので、現在の同様の事案に関してはチケット不正転売禁止法で取り締まられる可能性が高いです。

中古漁船4隻を無許可で売買したとして警視庁などは、北海道根室市の自営業の男(67)を古物営業法違反(無許可営業)の疑いで20日に釧路地検に書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。

引用:朝日新聞デジタル

この事例に関しても、無許可で古物営業を行っていたとして書類送検された事例です。

身分を確かめず、偽名で書類を書かせたうえで盗品を買い取ったとして、福岡県警は9日、福岡市南区柏原4丁目、古物店経営林政弘容疑者(38)を古物営業法違反などの疑いで逮捕し、発表した。

引用:朝日新聞デジタル

この事例は、無許可営業で逮捕されたのではなく、古物営業法に規定されている古物商の義務を怠り、盗品を買い取ったことで逮捕されています。

なので、古物商の無許可営業だけではなく、古物営業法で定められている義務違反を怠った場合にも処罰される可能性があるので注意が必要です。

古物商の法律違反が発覚して
直ちに処罰される可能性は低いけど・・・

上記でも紹介しているように、古物商の法律に違反した場合には厳しい罰則が設けられています。

ただし、無許可で古物商の営業をしていたことが発覚したからと言って、直ちに3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される可能性は今のところ低いようです。

というのも、実際に古物商の無許可営業が発覚した場合には、警察署から営業の停止と古物商の許可を取得するように指示されることが一般的のようです。

とはいえ、逮捕事例のところでも紹介したように、事案によっては直ちに逮捕される可能性はありえるので、古物営業を行うのであれば古物商の免許は取得すべきです。

何度も言うようですが、逮捕された場合に「知らなかった・・・」では済まされないので、しっかりと法律に基づいて営業することをおすすめします。

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まとめ

この記事のまとめ 

  • 古物商の法律に違反すると罰則・行政処分が科される可能性がある
  • 古物商の罰則には3年以下の懲役または100万円以下の罰金がある
  • 古物商の行政処分には許可取消や営業停止処分がある

古物商の許可を取りたいなら?

古物商の学校では古物商に関する基礎知識から古物商の取り方や、古物商の取得後に必要な手続き、古物商の変更手続きに至るまで専門家が徹底的に解説しています。

 

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